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企業型DCの掛金「全額損金算入」の仕組みを解説|保険・中退共との違い

投稿日:2026年06月12日

更新日:2026年06月12日

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この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

退職金の準備方法を検討している経営者から「企業型DCの掛金は本当に全額損金になるのか」というご質問を多くいただきます。結論から言えば、企業型DC(企業型確定拠出年金)の掛金は拠出した全額が損金算入されます。ただし、保険や中小企業退職金共済(中退共)との違いを正確に理解しておくことが重要です。本記事では、法人税法上の根拠と節税効果の試算を含めて、税務の観点からわかりやすく解説します。

結論:企業型DC掛金は拠出した全額が損金になる

企業型DCの事業主掛金は、拠出した事業年度において全額が損金算入されます。

法人税法上の根拠は、法人税法第22条第3項(損金の額の計算)と確定拠出年金法第54条です。確定拠出年金法第54条は、事業主が拠出した掛金は「従業員の給与に含まれない」ことを明確にしており、これが法人税上の損金算入を裏付けています。法人税基本通達9-3-5も、退職年金等の保険料・掛金は「支払った事業年度の損金の額に算入する」と定めています。

このセクションのポイント

  • 企業型DC掛金は拠出額の全額が損金算入される
  • 根拠法令:確定拠出年金法第54条・法人税法第22条第3項
  • 損金算入のタイミングは「拠出した事業年度」
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全額損金になる理由:税法上の根拠と条件

損金算入の法令根拠(確定拠出年金法・法人税法)

企業型DCの事業主掛金が全額損金になる理由は、法的な仕組みにあります。

確定拠出年金法第54条は「事業主が拠出した掛金は、給与として取り扱わない」と規定しています。これにより、掛金は従業員への給与でも役員報酬でもなく、企業が支出した純粋なコストとして扱われます。法人税法では、事業に関連した支出は損金算入されるのが原則であり、確定拠出年金の掛金はこの原則に基づいて損金算入が認められます。

また、確定拠出年金法に定める規約の範囲内で拠出することが条件です。掛金の上限額は、他の企業年金がない場合で月額55,000円(2024年12月改正後)、他の企業年金がある場合で月額27,500円です。この上限の範囲内であれば、拠出した全額が損金算入されます。

他の退職金準備手段との損金比較(保険・中退共)

退職金の準備手段として代表的な「生命保険(長期平準定期保険等)」「中退共」と比較すると、損金扱いに大きな違いがあります。

手段 損金算入割合 資産計上の有無
企業型DC 拠出額の全額 なし(従業員の個人口座へ)
中退共 全額(ただし国の制度) なし
長期平準定期保険 保険期間により異なる(原則50%) 保険料積立金として資産計上

保険商品については、2019年の国税庁通達改正以降、法人契約の生命保険の損金算入割合が厳しく見直されました。最高解約返戻率が85%超の保険は、保険期間の当初40%期間は保険料の60%しか損金算入できず、残り40%は資産計上が必要です。

一方、中退共は全額損金になりますが、加入できるのは中小企業のみ(資本金3億円以下または従業員300人以下など)であり、役員は加入できません。また、従業員が退職金を受け取る際の手続きが中退共本部経由になるため、企業の裁量が限定される点も異なります。

企業型DCは役員も含めて加入でき、かつ拠出した全額が確実に損金算入されるという点で、退職金準備手段として非常に優れた仕組みです。

このセクションのポイント

  • 企業型DCは拠出額の全額が損金算入(生命保険は原則50%のみ)
  • 中退共も全額損金だが、役員は加入不可
  • 企業型DCは役員・従業員ともに加入でき、損金算入も確実

節税効果の試算:月額5万円の掛金なら年間いくら節税?

月額5万円の掛金を拠出すると、年間で最大138,000円の法人税が減少します。

具体的な計算を見ていきましょう。

前提条件

  • 対象者:従業員1名(または役員1名)
  • 月額掛金:50,000円
  • 年間掛金総額:50,000円 × 12か月 = 600,000円

節税額の計算

中小企業の法人税率は以下のとおりです。

  • 年間所得800万円以下の部分:15%(軽減税率)
  • 年間所得800万円超の部分:23.2%

年間600,000円の掛金が損金算入されると、課税所得が600,000円減少します。

所得帯 法人税率 節税額
800万円以下の部分(軽減税率) 15% 600,000円 × 15% = 90,000円
800万円超の部分 23.2% 600,000円 × 23.2% = 139,200円

※ 地方法人税・法人住民税・法人事業税を含めた実効税率で計算すると、中小企業の場合は約20〜34%程度になり、節税額はさらに大きくなります。

仮に10名の従業員全員に月額50,000円を拠出した場合、年間掛金総額は600万円となり、法人税の軽減効果は900,000円〜1,392,000円規模になります。この資金が従来は法人税として納付されていたものが、従業員の老後資産として積み立てられる点は、経営者にとって大きなメリットです。

このセクションのポイント

  • 月額5万円の掛金で年間9万〜13.9万円の法人税節税効果
  • 軽減税率15%(800万円以下)でも確実に節税になる
  • 従業員数が多いほど法人全体の節税効果は大きくなる
企業型DC 導入事例|従業員数名規模の中小企業が実現した節税・退職金設計

SMC税理士法人からのアドバイス

SMC税理士法人では、企業型DCの税務メリットを活用した退職給付制度の設計支援を行っています。

企業型DCの導入を検討される際に、税理士の立場から特に強調したいポイントが2点あります。

1. 生命保険との損金比較を必ず行うこと

現在、退職金準備として法人契約の生命保険を活用している企業様は多いのですが、2019年の通達改正以降、損金算入割合が大幅に制限されています。企業型DCへの切り替え、または組み合わせを検討するだけで、年間の税負担が大きく変わるケースがあります。

2. 掛金設計は慎重に行うこと

企業型DCの掛金は、一度設定すると減額・停止に一定の手続きが必要です。また、加入者(従業員・役員)全員に対して公平な設計が求められます。掛金の上限額も法定されていますので、現在の資金繰りと退職金財源のバランスを考慮した設計が重要です。

導入前には必ず顧問税理士または弊社にご相談いただき、現在の退職金準備手段との損益比較シミュレーションを行うことをおすすめします。

まとめ

企業型DCの掛金が全額損金算入される理由と、保険・中退共との違いをまとめます。

  • 企業型DCの掛金は拠出額の全額が損金算入(確定拠出年金法第54条・法人税法第22条第3項)
  • 生命保険(長期平準定期保険等)は損金算入割合が原則50%に制限されており、企業型DCの方が有利
  • 中退共も全額損金だが、役員は加入不可。企業型DCは役員も加入できる
  • 月額5万円の掛金で年間9万〜13.9万円の節税効果(法人税率15〜23.2%の場合)
  • 掛金設計は資金繰りとのバランスが重要。導入前に税理士へ相談することを推奨

退職金準備の方法を見直したい経営者の方は、ぜひSMC税理士法人・株式会社日本企業型確定拠出年金センターまでお気軽にご相談ください。現在の退職金準備手段との比較シミュレーションを無料で承っています。

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SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 確定拠出年金導入 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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よくあるご質問

企業型DCの掛金はいつ損金算入されますか?

拠出した事業年度の損金の額に算入されます。未払計上はできませんので、実際に拠出(送金)した日の属する事業年度での損金算入となります。

役員の企業型DC掛金も損金になりますか?

はい、役員(代表取締役を含む)の掛金も全額損金算入されます。これが中退共と異なる大きなポイントです。ただし、掛金の上限額は従業員と同様に法定されています。

企業型DCの掛金は従業員の給与扱いになりますか?

なりません。確定拠出年金法第54条により、事業主掛金は給与として取り扱わないと明確に規定されています。従業員に所得税が課税されることもありません。

現在、生命保険で退職金準備をしています。企業型DCに切り替えた方が得ですか?

一概には言えませんが、損金算入割合の観点では企業型DCの方が有利なケースが多いです。生命保険は解約返戻金という資産価値がありますが、企業型DCは個人の口座に積み立てられるため企業の資産にはなりません。それぞれの特性を踏まえて比較検討することをおすすめします。

中退共と企業型DCを併用できますか?

原則として、同一の従業員に対して中退共と企業型DCを併用することは制度上の問題はありませんが、掛金の上限額計算に影響が出る場合があります。詳しくは専門家にご相談ください。

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このコラムの著者 : 宍戸沙綾

株式会社SMC総研:株式会社日本企業型確定拠出年金センター 企業型DC導入支援グループ
AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)/DCプランナー2級 
前職で税理士法人グループの保険代理店に所属し、税務の観点から企業にとっての最適な金融商品の提案を実施。その経験を活かし、現在は企業型確定拠出年金の導入を多数支援。提携先の税理士事務所や大手保険会社との共催セミナーの主催や社内勉強会を実施。経営者の想いに寄り添い、「経営者と従業員の資産最大化」をサポートしている。

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