投稿日:2026年06月12日
更新日:2026年06月12日
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役員報酬を高く設定すると、所得税・住民税の負担が重くなります。一方、企業型確定拠出年金(企業型DC)の掛金は課税対象外となるため、役員報酬の一部を企業型DC掛金に振り替えることで、実質的な手取りを増やすことができます。本記事では、この仕組みを具体的な数字で解説します。
目次
役員報酬として受け取ると課税される金額を、企業型DC掛金として拠出すれば非課税で老後資産を積み立てられるため、現役時代の税負担を抑えながら将来の受取額を確保できます。
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- 企業型DC掛金は、所得税・住民税の課税対象から除外される
- 会社が負担する掛金は損金算入できるため、法人税の節税にもつながる
- 役員報酬を適切に設計することで、個人・法人双方の税負担を最適化できる
月額50万円(年収600万円)の役員報酬を受け取る場合の概算税負担を見てみましょう。
| 項目 | 金額(概算) |
|---|---|
| 年収 | 600万円 |
| 給与所得控除 | 164万円(600万円×20%+44万円) |
| 給与所得 | 436万円 |
| 所得税(各種控除後の概算) | 約25〜30万円 |
| 住民税(概算) | 約36〜40万円 |
| 税負担合計(概算) | 約61〜70万円 |
※社会保険料は別途発生します。上記は概算であり、扶養家族の有無・各種控除の適用状況により異なります。
仮に役員報酬を月額45万円に引き下げ、会社が月額5万円を企業型DC掛金として拠出した場合(年間60万円)はどうなるでしょうか。
| 項目 | 金額(概算) |
|---|---|
| 年収(報酬ベース) | 540万円 |
| 給与所得控除 | 152万円(540万円×20%+44万円) |
| 給与所得 | 388万円 |
| 所得税(概算) | 約21〜24万円 |
| 住民税(概算) | 約32〜35万円 |
| 税負担合計(概算) | 約53〜59万円 |
企業型DC掛金(年60万円)は個人の課税所得に算入されません。会社にとっても、掛金は全額損金として計上できます。
| 比較項目 | 報酬として受け取る | 企業型DCに拠出 |
|---|---|---|
| 年間受取額・積立額 | 600万円(課税) | 報酬540万円+DC60万円 |
| 個人の年間税負担(概算) | 約61〜70万円 | 約53〜59万円 |
| 年間税節減額(概算) | — | 約8〜11万円 |
さらに、DCの運用益は非課税で再投資され、受け取り時には退職所得控除・公的年金等控除の適用を受けることができます。10年・20年にわたって積み立てれば、税制上の恩恵は相当な金額に積み上がります。
このセクションのポイント
- 役員報酬を月5万円DC掛金に振り替えると、年間8〜11万円の所得税・住民税節減効果が見込める(個人の状況により異なる)
- 会社側では掛金を損金算入できるため、法人税負担も軽減される
- DCの運用益は非課税。長期積立の効果は複利で拡大する
役員報酬を変更する際には、会社法上のルールを守る必要があります。役員報酬の額は原則として定時株主総会の決議によって定め、事業年度の開始から3ヶ月以内に改定するのが基本です(会社法第361条)。
事業年度の途中で理由なく役員報酬を引き下げると、「不当に損金を操作した」とみなされ、税務調査で否認されるリスクがあります。特に、「期の途中での定期同額給与の変更」は認められないケースが多いため、役員報酬の設計変更は必ず事業年度開始時(定時株主総会の決議後)に行うことが重要です。
また、企業型DCの規約変更や掛金の設定も、社内手続きや厚生労働省への届出が必要です。導入・変更には一定のリードタイムを見込んでおく必要があります。
2024年12月1日から施行された制度改正により、企業型DCの掛金上限は以下のとおりです(厚生労働省・確定拠出年金の拠出限度額より)。
| 加入状況 | 月額上限 | 年額上限 |
|---|---|---|
| 企業型DCのみ加入(DB等他制度なし) | 5万5,000円 | 66万円 |
| 企業型DCとDB等を併用 | 2万7,500円 | 33万円 |
なお、2024年12月1日以降は「他制度掛金相当額」を反映した計算方式に変更されており、DB(確定給付企業年金)等との併用状況によって個人ごとの上限が異なります。詳細は加入する年金プランの運営管理機関または社会保険労務士・税理士にご確認ください。
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- 役員報酬の変更は定時株主総会の決議が必要。期中の変更は税務リスクを伴う
- 企業型DCの掛金上限は、他制度との併用状況によって月2万7,500円〜5万5,000円の範囲
- 規約変更・届出には時間がかかるため、次期の事業年度開始に合わせた計画が重要
役員報酬と企業型DC掛金のバランスは、個人の所得水準・家族構成・会社の規模・他の年金制度の有無によって最適解が異なります。
SMC税理士法人では、「役員の手取りを最大化する報酬設計」を法人税・所得税・年金制度の3つの視点から統合的にサポートしています。企業型DCの新規導入支援は日本企業型確定拠出年金センターと連携して行っており、制度設計から掛金シミュレーション、規約策定まで一貫してご相談いただけます。
「来期から役員報酬を見直したい」「企業型DCを活用した節税を検討したい」というご相談は、SMC税理士法人または株式会社日本企業型確定拠出年金センターへお問い合わせください。
Q1.
Q2.
Q3.
Q4.
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SMC税理士法人×NDC提携|中小企業への企業型DC導入サポートの強み
役員報酬の一部を企業型DC掛金に振り替えることで、個人の所得税・住民税の負担を抑えながら、老後資産を非課税で積み立てることができます。この戦略の主なポイントは次のとおりです。
ただし、最適な設計は個々の状況によって異なります。実際に導入・変更を検討される際は、税理士・社会保険労務士・DCプランナーなどの専門家に相談のうえ進めることをお勧めします。
本記事の情報は2026年6月時点のものです。税制・社会保険制度は改正されることがありますので、最新情報は国税庁・厚生労働省の公式サイトまたは専門家にご確認ください。
SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 確定拠出年金導入 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
はい、加入できます。企業型DCは従業員だけでなく、役員(使用人兼務役員を含む)も対象とすることができます。ただし、規約上で役員を対象者として定める必要があります。詳細は運営管理機関にご確認ください。
影響します。標準報酬月額が下がると、将来の厚生年金の受給額も若干減少します。ただし、企業型DCの積立分でカバーできるケースも多く、トータルの老後資産としてどちらが有利かをシミュレーションして判断することをお勧めします。
企業型DCの掛金は原則として「事業主(会社)」が拠出するものです。役員報酬を引き下げた分を会社が掛金として拠出する形になります。なお、マッチング拠出制度を導入している場合は、従業員・役員自身も上乗せ拠出が可能です(ただし事業主掛金の額を超えることはできません)。
はい、次の事業年度の開始に合わせて同時に実施することが可能です。定時株主総会での報酬変更決議と、企業型DC規約の整備・届出を並行して進めると効率的です。ただし、DC規約の厚生労働省承認には数ヶ月かかる場合があるため、早めに着手することをお勧めします。
原則として60歳以降に受け取ることができます(加入期間が10年に満たない場合は受給開始年齢が繰り下がります)。受け取り方は「一時金(退職所得)」「年金(公的年金等控除)」「一時金と年金の組み合わせ」から選択でき、それぞれ税制上の優遇が受けられます。