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企業型確定拠出年金 50代のおすすめ配分|減らさない守りの運用術

投稿日:2026年04月16日

更新日:2026年04月17日

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この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

50代は企業型確定拠出年金(DC)の運用方針を「増やす」から「減らさない」へと切り替える重要な時期です。
退職が視野に入り、これまで築いてきた資産をいかに守り着実に受け取るかが課題となります。

2024年現在NISA制度の拡充など資産運用への関心が高まっていますが受取時期が近い確定拠出年金の運用はより慎重な判断が求められます。
この記事では50代に最適な資産配分の考え方リスク許容度別のモデルプランそして具体的な見直しの手順を解説します。

目次

50代の企業型確定拠出年金は「守りの運用」へ切り替える時期

20代や30代、40代では、運用期間が長いためリスクを取って積極的にリターンを狙う「攻めの運用」が有効でした。

しかし、50代になると退職までの期間が短くなり、万が一大きな損失を出した場合に回復させる時間が限られます。

そのため、運用方針を大きく転換し、これまで積み上げた資産を市場の暴落から守りつつ、安定的に運用する「守りの運用」へとシフトすることが不可欠です。
ゴール(受取開始)を見据え、資産を確定させていく段階に入ったと意識する必要があります。

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50代からの企業型DC運用の3つの基本戦略

50代からの企業型確定拠出年金の運用では、若い頃とは異なる視点での戦略が求められます。
これまでのように積極的に資産を増やすことだけを考えるのではなく、退職後の生活を見据えて、着実に資産を確保するための計画的な運用へと切り替える必要があります。

ここでは、その基本となる3つの戦略について解説します。

①「増やす」から「減らさない」へ意識を転換する

50代の確定拠出年金運用で最も重要なのは、「資産を増やす」意識から「資産を減らさない」意識へと転換することです。
退職までの残り時間が少ないため、大きな運用失敗は老後資金計画に深刻な影響を与えかねません。
例えば、リーマンショック級の金融危機が発生した場合、資産が半減する可能性も否定できません。

若い世代であれば時間をかけて回復を待てますが、50代ではその時間がありません。
まずはこれまで積み上げた利益を確定させ、守りを固めることを最優先の課題として捉えるべきです。

②暴落に備え元本確保型商品の比率を高める

資産を減らさないためには、具体的なポートフォリオの見直しが必要です。
特に、株式などのハイリスク資産の割合を下げ、定期預金や保険といった元本確保型商品の比率を高めることが有効な手段となります。
これにより、市場が大きく変動した場合でも資産全体への影響を限定的にできます。

50代になったら、少なくとも資産の50%以上を元本確保型に切り替えることを検討するのが一般的です。
リスク許容度に応じてこの割合を調整し、暴落に強い資産構成を構築することが求められます。

③退職金の一部と捉え、受け取り時期を意識する

企業型確定拠出年金は、会社の退職金制度の一部であることが多く、老後の生活を支える重要な資金源です。

そのため、自身の退職予定年齢や年金の受け取りを開始したい時期を明確に意識し、そこから逆算して運用計画を立てる必要があります。

例えば、60歳で受け取りを開始するのか、あるいは65歳まで運用を続けるのかによって、リスクを取れる期間は変わってきます。

受け取り時期が近づくにつれて、段階的に元本確保商品の比率を高めていくなど、計画的な出口戦略を立てて運用に臨むべきです。

【リスク許容度別】50代におすすめの資産配分モデル3選

50代の資産配分は個々のリスク許容度や資産状況によって異なります。
「減らさない」運用を基本としつつもどの程度の成長を目指すかによって最適なポートフォリオは変わります。

ここでは元本確保型商品の割合を変えた「安定重視」「バランス」「積極運用」の3つのモデルプランを具体的に紹介します。
自身の考え方に最も近いプランを参考に資産配分の見直しを検討してください。

安定重視プラン:元本確保型70%で資産を守り抜く

これまでの運用で十分な資産が築けており、これ以上リスクを取りたくない方向けのプランです。
資産の70%を定期預金や保険などの元本確保型商品に配分し、資産全体の値動きを徹底的に抑制します。
残りの30%は、国内債券や外国債券といった比較的リスクの低い投資信託で運用し、インフレに対応できる最低限のリターンを目指します。

この配分の目的は、資産を増やすことではなく、価値の目減りを防ぎながら守り抜くことです。
退職まで残り5年を切っている場合などにおすすめの割合です。

バランスプラン:元本確保型50%で守りと成長を両立

資産を守りつつも、ある程度の成長も期待したいという方向けの中間的なプランです。
元本確保型商品の割合を50%確保することで資産の土台を固め、大きな値下がりリスクに備えます。

残りの50%を国内外の債券や株式に分散投資することで、安定性と収益性のバランスを取ります。
例えば、国内債券20%、外国株式20%、国内株式10%といった配分が考えられます。
この割合は、50代における標準的なモデルケースとして多くの専門家が推奨しています。

積極運用プラン:リスクを抑えつつ株式30%で最後の成長を狙う

退職までまだ10年程度の期間があり、もう少し資産を増やしたいと考える方向けのプランです。
ただし、40代までのような積極的な運用とは異なり、リスクは限定的にします。
元本確保型の割合を30%~40%とし、残りを投資信託で運用します。

株式の割合は、外国株式を中心に合計で30%程度に抑えるのが一つの目安です。
債券も組み入れることで、ポートフォリオ全体のリスクをコントロールします。
このプランを選択する場合でも、市場の動向を注視し、退職時期が近づくにつれて安定型へ移行する計画が必要です。

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資産を減らさないための具体的なアクションプラン

50代の運用方針が決まったら、次に行うべきは具体的なアクションです。
現在の資産状況を確認し、目標とするポートフォリオに合わせて「配分変更」と「スイッチング」を実行します。
この2つの手続きは、今後の資産形成と資産保全において非常に重要な役割を果たします。

ここでは、その手順を3つのステップに分けて具体的に解説します。

ステップ1:現在の資産状況と掛金の配分を確認する

まず最初に行うべきは、現状の把握です。
運営管理機関(金融機関)のウェブサイトにログインし、現在の資産残高、損益状況、そしてどの商品にどのような割合で資産が配分されているかを確認します。
同時に、毎月の掛金がどの商品に積み立てられているかの配分割合もチェックしましょう。

この現状分析を通じて、目標とするポートフォリオと現在のポートフォリオとの間にどれくらいの差があるのかを明確にすることが、次のステップに進むための第一歩となります。

ステップ2:これから積み立てる掛金の「配分変更」を行う

現状を把握したら、次にこれから積み立てる掛金の投資先を見直す「配分変更」を行います。
これは、将来にわたって購入する商品の種類と割合を変更する手続きです。
例えば、これまで外国株式100%で積み立てていたものを、元本確保型50%、国内債券30%、外国株式20%といった守りの配分に変更します。

これにより、今後の積立分からリスクがコントロールされ、目標とするポートフォリオに徐々に近づけていくことができます。
配分変更は手数料がかからず、いつでも実行可能です。

ステップ3:今ある資産を安全に移す「スイッチング(預け替え)」を検討する

配分変更とあわせて検討すべきなのが、現在保有している商品を売却し、別の商品に買い換える「スイッチング(預け替え)」です。
特に、株式ファンドなどで利益が出ている場合、その利益を確定させて元本確保型商品などに移し替えることで、将来の価格下落リスクから資産を守ることができます。

スイッチングは市場のタイミングを見計らうのが難しい側面もあるため、一度に全てを動かすのではなく、数回に分けて実行するなどの時間分散を意識すると、高値掴みや安値売りといったリスクを軽減できます。

50代の企業型DC運用で注意すべき3つのポイント

50代の企業型DC運用では、守りの姿勢が基本となりますが、見直しを進める上で注意すべき点がいくつかあります。
リスクを過度に恐れたり、焦って行動したりすると、かえって資産を減らす結果につながる可能性もあります。

ここでは、運用方針を切り替える際に特に心に留めておきたい3つのポイントを解説します。

①リスクをゼロにしすぎるとインフレ負けの可能性も

資産を減らしたくないという思いから、全ての資産を元本確保型商品に移し替えてしまうと、インフレによって資産の実質的な価値が目減りするリスクが生じます。
現在の低金利下では、定期預金の利息は物価上昇率に追いつかないケースがほとんどです。

そのため、守りの運用を基本としつつも、資産の一部は国内外の債券や株式といった投資信託で運用し、インフレ率を上回るリターンを目指す視点も必要です。
完全にリスクをゼロにするのではなく、適切な範囲でリスクを取ることが資産価値の維持につながります。

②焦って一度にすべての資産をスイッチングしない

市場の急な変動を見て、慌てて保有資産のすべてを一度にスイッチングすることは避けるべきです。
特に、株価が暴落している最中に売却すると、大きな損失を確定させてしまうことになります。

また、一度に安全資産へ移し替えると、その後の市場回復の恩恵を受けられなくなります。
スイッチングを行う際は、時間を分散させることを意識し、複数回に分けて実行するのが賢明です。
例えば、「3ヶ月に1回、資産の4分の1ずつを目標配分に近づける」といったルールを決めて機械的に行うと、感情的な判断を避けられます。

③手数料の高い投資信託を選んでいないか確認する

運用商品を見直す際には、リターンだけでなくコスト、特に信託報酬(運用管理費用)にも注目しましょう。
信託報酬は、投資信託を保有している間、継続的に発生する手数料であり、長期的に見るとリターンに大きな影響を与えます。
同じような投資対象のファンドでも、信託報酬には差があるため、できるだけ低コストの商品を選ぶことが運用の効率化につながります。

特にインデックスファンドは、アクティブファンドに比べて信託報酬が低い傾向にあるため、コストを抑えたい場合の有力な選択肢となります。

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企業型確定拠出年金に関するよくある質問

50代の方が企業型確定拠出年金の運用を見直す際には、様々な疑問や不安が生じるものです。
ここでは、特に多く寄せられる質問に対して、簡潔に回答します。

60歳以降も働き続ける場合、配分はどうすればいいですか?

60歳以降も働き続ける場合は、すぐに資産を全て元本確保型にする必要はありません。
年金の受け取り開始を65歳以降に遅らせることができるため、その期間に応じて一定のリスクを取る運用を続けることも可能です。

ただし、最終的な受け取り時期を意識し、そこから逆算して段階的にリスク資産の割合を減らしていく計画的な運用が求められます。

株価が暴落してしまったら、どう対応すべきですか?

最も避けるべきは、パニックになって資産を全て売却してしまう「狼狽売り」です。
市場はいずれ回復する可能性が高いため、まずは冷静に状況を見守ることが基本です。

退職まで時間的な余裕がある場合は、そのまま保有を続けるか、むしろ割安になったと捉えて積立を継続する選択肢もあります。
受け取り時期が近い場合は、市場が少し落ち着いたタイミングで、計画的に安全資産へスイッチングを進めましょう。

スイッチングに最適なタイミングはありますか?

市場の最高値や最安値を正確に予測し、最適なタイミングでスイッチングすることは専門家でも不可能です。
そのため、タイミングを計ろうとするのではなく、あらかじめ決めたルールに従って機械的に実行することをおすすめします。

例えば、「年に1回、資産配分を目標の割合に戻す(リバランス)」「株価が目標額に達したら利益を確定する」といった自分なりのルールを設けるのが有効です。

まとめ

50代における企業型確定拠出年金の運用は、退職後の生活を見据えた「減らさない」ための守りの戦略が中心となります。
重要なのは、自身の退職時期とリスク許容度を把握し、元本確保型商品の比率を高めたポートフォリオへ計画的に移行することです。

具体的なアクションとして、まずは現在の資産状況を確認し、「配分変更」でこれからの積立方針を見直し、必要に応じて「スイッチング」でこれまでの利益を確保します。
焦らず、計画的に資産のメンテナンスを行うことが、大切な老後資金を守り抜くための鍵となります。

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よくあるご質問

50代になったら、すぐに全ての資産を元本確保型に移すべきですか?

いいえ。一気に移すとインフレで資産価値が目減りする恐れがあるため、段階的に比率を高めるのが理想です。

運用商品の「配分変更」と「スイッチング」の違いは何ですか?

「配分変更」はこれから積み立てるお金の投資先を変えること、「スイッチング」は今持っている資産を売り買いして入れ替えることです。

退職まで残り5年を切った場合、理想的な配分割合は?

資産の70%程度を元本確保型(定期預金など)にし、徹底して「守り」を固める「安定重視プラン」が推奨されます。

スイッチングをする際、手数料(信託財産留保額)はかかりますか?

商品によります。投資信託によっては解約時に実質的な手数料が発生する場合があるため、事前に各商品の規定を確認しましょう。

元本確保型商品だけで運用しても問題ありませんか?

資産は守れますが、物価上昇(インフレ)が続くとお金の価値が相対的に下がるため、一部は債券などで運用を続ける視点も大切です。

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このコラムの著者 : 宍戸沙綾

株式会社SMC総研:株式会社日本企業型確定拠出年金センター 企業型DC導入支援グループ
AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)/DCプランナー2級 
前職で税理士法人グループの保険代理店に所属し、税務の観点から企業にとっての最適な金融商品の提案を実施。その経験を活かし、現在は企業型確定拠出年金の導入を多数支援。提携先の税理士事務所や大手保険会社との共催セミナーの主催や社内勉強会を実施。経営者の想いに寄り添い、「経営者と従業員の資産最大化」をサポートしている。

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