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企業型確定拠出年金の平均受取額はいくら?計算方法と賢い受け取り方

投稿日:2026年05月19日

更新日:2026年05月19日

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この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

企業型確定拠出年金(DC)は、老後資産形成の重要な柱の一つです。
将来いくら受け取れるのか、その平均額や自身の受取額の計算方法に関心を持つのは自然なことです。

本記事では、統計データに基づく平均受取額を解説するとともに、受取額を左右する3つの要素や、税金の負担を抑えて手取りを最大化するための賢い受け取り方を具体的に紹介します。
自身の状況に合わせた資産計画を立てるための参考にしてください。

企業型確定拠出年金(DC)の平均受取額はいくら?統計データで解説

企業型確定拠出年金の受取額は、個人の掛金や運用実績によって大きく異なりますが、公表されている統計データからおおよその平均額を把握できます。
受取方法には、一括で受け取る「一時金」と、分割で受け取る「年金」の2種類があり、それぞれ平均額の傾向が異なります。

これらのデータは、自身の将来の受取額を考える上での一つの目安となります。
ここでは、一時金と年金形式、それぞれの平均受取額について解説します。

一時金(一括)で受け取る場合の平均額

企業型DCを一時金で受け取る場合の平均支給額について、特定の年度の正確な数値は公開されていないか、一般には入手困難な場合があります。企業型DCは、加入期間や企業の掛金設定、個人の運用実績によって受給額が大きく変動するため、一概に平均額を示すことは難しいとされています。

しかし、一般的に、加入期間が長い場合は受給額が大きくなる傾向があり、例えば30年以上の加入期間では1,000万円を超えるケースも見られます。一方で、加入期間が短い場合は100万円に満たないこともあります。

一時金での受け取りは、退職所得控除という税制優遇が適用されるため、多くの加入者に選択されています。

年金形式で毎月受け取る場合の平均額

年金形式で受け取る際の月額は、個人の掛金や運用状況によって異なります。iDeCo(個人型確定拠出年金)の平均掛金額は、加入者の種別によって月額14,407円から28,557円です。年金形式は、運用を継続しながら資産を取り崩していくため、長期的な視点で安定した収入を得られるメリットがあります。

しかし、一時金に比べて選択する人の割合は少ない傾向にあります。受取期間や受取方法(確定年金、終身年金など)は運営管理機関の規約によって異なるため、自身のライフプランに合わせて選択することが求められます。

企業型DCの節税効果はいくら?iDeCo比較もできる簡単シミュレーション

あなたの受取額はいくら?3つの要素で決まる将来の資産をシミュレーション

企業型DCの将来の受取額は、画一的なものではなく、主に「毎月の掛金」「運用利回り」「加入期間」の3つの要素によって決まります。
これらの要素がどのように資産額に影響を与えるかを理解することで、自身の将来の受取額をより具体的に予測できます。
簡単な計算シミュレーションを通じて、各要素が資産形成に与えるインパクトを確認し、今後の運用計画を立てるための参考にすることが可能です。

要素①:毎月の掛金による積立総額の違い

将来の受取額を決定する最も基本的な要素は、毎月の掛金、すなわち拠出額です。
掛金は資産の元本となるため、その金額が大きいほど将来の資産総額も大きくなります。
企業型DCの平均的な掛金は月額1.5万円から2万円程度ですが、例えば毎月の掛金が5,000円違うだけでも、30年間積み立てると拠出額の元本だけで180万円もの差が生まれます。

マッチング拠出制度などを活用し、可能な範囲で拠出額を増やすことが、資産を増やす直接的な方法となります。

要素②:運用利回り(年率3%・5%など)による資産の増え方

運用利回りは、積立資産がどのくらいのペースで増えるかを決める重要な要素です。
同じ掛金でも、利率が異なれば将来の受取額に大きな差が生じます。
例えば、毎月2万円を30年間積み立てた場合、運用利回りが年率3%なら最終的な資産額は約1,157万円ですが、年率5%で運用できれば約1,631万円となり、その差は約474万円になります。

どのような金融商品で運用するかによって利回りは変動するため、リスク許容度に応じて適切な資産配分を考えることが重要です。
近年の実績では、平均3%~6%程度の利回りで推移しているというデータもあります。

要素③:加入期間の長さが複利効果に与える影響

加入期間の長さは、利息が利息を生む「複利効果」を最大化させる上で極めて重要です。
運用期間が長ければ長いほど、複利の力が働き、資産は雪だるま式に増えていきます。
例えば、同じ金額を積み立てる場合でも、25歳の若いうちから始めるのと、35歳から始めるのでは、最終的な資産額に大きな差が生まれます。

早く始めるほど、月々の負担を抑えながら効率的に資産を形成することが可能です。
そのため、可能な限り若い年齢から加入し、長期的な視点で運用を続けることが推奨されます。

手取り額を最大化する!税制優遇を活かした3つの受け取り方

企業型DCで積み立てた資産を受け取る際には、税金がかかります。
しかし、税制上の優遇措置が設けられており、受け取り方を工夫することで手取り額を最大化することが可能です。
主な受け取り方には「一時金」「年金」、そしてそれらを組み合わせた「併用」の3つの選択肢があります。

それぞれの方法で適用される控除が異なるため、自身の退職金の有無やライフプランに合わせて最適な方法を選択することが、賢い資産活用の鍵となります。

【一時金】退職所得控除を最大限に活用するメリット

資産を一時金として一括で受け取る最大のメリットは、税負担を大幅に軽減できる「退職所得控除」が適用される点です。
退職所得控除額は勤続年数(DCの加入期間)に応じて大きくなり、特に長期間加入していた場合に有利です。
計算式は、勤続20年までは「40万円×勤続年数」、20年超の部分は「70万円×(勤続年数-20年)」となります。

受取額がこの控除額の範囲内であれば税金はかからず、超えた場合でも課税対象となるのはその2分の1のみです。
これにより、他の所得と分離して低い税率が適用されるため、税負担を大きく抑えることが可能です。

【年金】公的年金等控除で税負担を抑えるメリット

資産を分割して年金形式で受け取る場合、「公的年金等控除」が適用されます。
これにより、毎年の雑所得として課税されるものの、一定額が収入から差し引かれるため税負担が軽減されます。
一度に大きな金額を受け取らないため、その年の所得が急激に増えることを防ぎ、所得税や住民税の税率を低く抑えられる可能性があります。

また、国民健康保険料などの社会保険料の負担増を避けたい場合にも有効な選択肢です。
ただし、厚生年金などの他の公的年金と合算して控除額が計算されるため、全体の収入バランスを考慮する必要があります。

【併用】一時金と年金を組み合わせて控除枠を使い分ける方法

一部を一時金、残りを年金で受け取る「併用」は、それぞれの控除枠を有効活用できる柔軟な方法です。
例えば、退職所得控除の枠内で収まる金額を一時金として非課税で受け取り、残りの資産を年金として受け取ることで公的年金等控除も利用できます。
これにより、一時金の税メリットを享受しつつ、年金形式で長期的な収入も確保することが可能になります。

ただし、すべての企業型DCで併用が選択できるわけではないため、自社の制度の規約を事前に確認することが不可欠です。

会社の退職金がある場合に注意すべき税金のポイント

企業型DCとは別に、会社から退職一時金が支給される場合、税金の計算に注意が必要です。
退職所得控除は、原則としてその年に受け取ったすべての退職金を合算して計算されます。
つまり、同じ年に企業型DCの一時金と会社の退職金の両方を受け取ると、一つの控除枠を分け合う形となり、課税対象額が増える可能性があります。

これを避けるためには、受け取るタイミングをずらす(例:企業型DCを60歳、会社の退職金を65歳で受け取るなど)ことで、それぞれの控除枠を最大限活用できる場合があります。
税制を理解し、計画的に受け取ることが重要です。

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企業型確定拠出年金に関するよくある質問

企業型確定拠出年金は、長期にわたる資産形成制度であるため、加入から受け取りまでさまざまな疑問が生じます。
例えば、受給開始可能年齢や運用のリスク、具体的な手続き方法などが挙げられます。
また、個人で加入するiDeCoとの違いや併用について関心を持つ人も少なくありません。

ここでは、企業型DCに関して特に多く寄せられる質問にQ&A形式で回答し、制度への理解を深めます。

Q1. 企業型確定拠出年金はいつから受け取れますか?

原則として60歳から老齢給付金として受け取れます。
ただし、60歳時点で企業型DCへの通算加入者等期間が10年に満たない場合、受給開始可能年齢が最高で65歳まで段階的に繰り下げられます。

自身の加入期間を確認し、いつから受け取りを開始できるか把握しておくことが大切です。
60歳以降75歳までの間で、都合の良いタイミングを選んで受け取りを開始できます。

Q2. 運用に失敗して元本割れする可能性はありますか?

はい、元本割れする可能性はあります。
企業型DCは投資信託などの価格が変動する金融商品で運用するため、市場の動向によっては拠出した掛金の総額を下回るリスクが存在します。

一方で、定期預金などの元本確保型商品も選択肢として用意されています。
リスクを抑えたい場合は元本確保型商品の割合を増やす、積極的にリターンを狙う場合は株式ファンドなどを組み合わせるなど、自身のリスク許容度に合った運用が可能です。

Q3. 受け取りを開始するための手続きの流れを教えてください。

受給開始年齢に到達する少し前に、加入している運営管理機関(金融機関)から手続きに関する案内書類が郵送されます。
その案内に従って、受取方法(一時金・年金・併用)を選択し、請求書や本人確認書類などの必要書類を提出します。

手続き完了後、指定した口座に給付金が振り込まれるのが一般的な流れです。
詳細は各金融機関の案内に従ってください。

まとめ

企業型確定拠出年金の一時金での平均受取額は、情報源によって異なるものの、令和2年3月末時点では約459万円というデータがあります。これはあくまで目安であり、実際の受取額は「毎月の掛金」「運用利回り」「加入期間」の3つの要素によって個人ごとに大きく変動します。

将来の受取額を増やすためには、これらの要素を理解し、自身の状況に応じた運用計画を立てることが重要です。

また、受け取り時には「一時金」「年金」「併用」の選択によって手取り額が変わるため、退職所得控除や公的年金等控除といった税制優遇を最大限に活用する方法を検討することが、資産を有効に活用する上で重要になります。

SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 確定拠出年金導入 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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よくあるご質問

受取額を増やすために、今からできる最も効果的なことは何ですか?

「マッチング拠出」を活用して掛金を増やすこと、そして低コストな投資信託を選び「複利効果」を最大化させる運用を継続することです。

会社の退職金と企業型DCを同じ年に「一時金」で受け取ると損ですか?

損をする可能性があります。両者の合計額が1つの控除枠(退職所得控除)を分け合うため、枠を超えた分に課税されてしまうからです。

受取時に相場が暴落していたら、どう対応すべきですか?

すぐに現金化せず「運用指図者」として運用を続け、相場の回復を待つことが可能です。受取時期は最長75歳まで遅らせることができます。

転職で「iDeCo」に資産を移すと、平均受取額はどう変わりますか?

制度が変わっても運用益非課税のメリットは同じですが、iDeCoは手数料を自分で負担するため、コストの低い金融機関を選ばないと手取りが減る原因になります。

受取額のシミュレーションはどこでできますか?

各運営管理機関(金融機関)の加入者専用サイトで、現在の残高に基づいた将来の予測額をいつでも確認できます。

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このコラムの著者 : 宍戸沙綾

株式会社SMC総研:株式会社日本企業型確定拠出年金センター 企業型DC導入支援グループ
AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)/DCプランナー2級 
前職で税理士法人グループの保険代理店に所属し、税務の観点から企業にとっての最適な金融商品の提案を実施。その経験を活かし、現在は企業型確定拠出年金の導入を多数支援。提携先の税理士事務所や大手保険会社との共催セミナーの主催や社内勉強会を実施。経営者の想いに寄り添い、「経営者と従業員の資産最大化」をサポートしている。

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