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企業型確定拠出年金で年収は下がる?含まれない掛金と影響を解説

投稿日:2026年04月16日

更新日:2026年04月30日

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この記事を読むのに必要な時間は約 8 分です。

企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入すると、掛金が給与と見なされず、結果として書類上の年収が下がることがあります。
特に、自身の給与から掛金を拠出する「選択制DC」ではこの現象が起こりやすく、税金の負担が軽くなるメリットがある一方で、将来の年金受給額やローン審査に影響を及ぼす可能性も考慮しなくてはなりません。

この記事では、企業型DCの掛金が年収にどう影響するのか、その仕組みと具体的なメリット・デメリットを解説します。

企業型確定拠出年金の掛金は原則として年収(課税所得)に含まれない

企業型確定拠出年金(企業型DC)の掛金は、所得税や住民税の計算対象となる年収には原則として含まれません。
これは、掛金が給与ではなく、将来の資産形成のための費用として扱われるためです。
ただし、掛金の拠出方法によって年収の扱われ方が異なります。

自身の給与の一部を掛金とする「選択制DC」や、会社が給与に上乗せして拠出する場合では、いずれも掛金は非課税となります。
一方で、マッチング拠出のように一度給与として受け取ってから拠出するケースでは扱いが変わるため、制度の理解が重要です。

給与の一部を掛金にする「選択制DC」は年収から除外される

選択制DCとは、従業員が自身の給与の一部をそのまま掛金として拠出するか、あるいは給与として受け取るかを選択できる制度です。
この制度で掛金として拠出した部分は、そもそも給与として支払われなかったものとして扱われます。
そのため、所得税や住民税、自己負担額の計算の基礎となる給与収入から除外されることになります。

例えば、月給30万円の人が2万円を掛金として拠出した場合、その月の給与収入は28万円として計算されるため、結果的に源泉徴収票に記載される年収額が減少します。

会社が上乗せで拠出する掛金も給与とは見なされない

企業によっては、従業員の給与とは別に、福利厚生の一環として会社が掛金を全額拠出する場合があります。企業が拠出する掛金は、確定拠出年金のような制度の場合、原則として従業員の給与所得には含まれません。そのため、従業員にとって税金や自己負担額の負担が増えることはなく、書類上の年収が変動することもありません。

この方式は、従業員自身の給与とは切り離された形で将来の資産形成を支援する仕組みであり、選択制DCとは年収への影響の点で根本的に異なります。

補足:マッチング拠出の掛金は年末調整で所得控除の対象となる

マッチング拠出は、会社が拠出する掛金に加えて、従業員自身が任意で掛金を上乗せできる制度です。
この従業員が拠出する掛金は、選択制DCと異なり、一度給与として支給された中から拠出する形をとります。
そのため、給与の額面自体は変わりませんが、拠出した掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となります。

年末調整でこの控除を申告することにより、課税対象となる所得金額が減り、結果的に所得税や翌年の住民税が軽減される仕組みです。

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源泉徴収票で確認!企業型DCの掛金が反映される項目

企業型DCに加入している場合、その影響は年末に受け取る源泉徴収票で確認できます。
特に注目すべきは「支払金額」と、場合によっては「固定費等の金額」やその内訳です。

選択制DCに加入している場合は、年間の掛金総額が差し引かれた後の金額が「支払金額」に記載されるため、本来の年収よりも低い額面になります。
この仕組みを理解することで、ご自身の正確な課税対象所得を把握することが可能です。

「支払金額」:選択制DCの掛金が差し引かれた金額が記載される

源泉徴収票の「支払金額」欄には、その年に会社から支払われた給与・賞与の合計額が記載されますが、これは税金や自己負担額の計算の基となる重要な金額です。
選択制DCを利用している場合、拠出した掛金の年間合計額は給与と見なされないため、この「支払金額」からあらかじめ差し引かれています。

例えば、本来の年収が500万円で、年間に36万円を拠出した場合、「支払金額」には464万円と記載されます。
このように、書類上の年収が実質的に下がる形で反映されます。

「自己負担額等の金額」:マッチング拠出分が含まれる場合がある

マッチング拠出で従業員が拠出した掛金は、全額が所得控除の対象です。
この掛金は「小規模企業共済等掛金控除」に該当し、年末調整の際に申告します。
源泉徴収票では、給与から天引きされた自己負担額の合計額が記載される「固定費等の金額」欄ではなく、その下にある「小規模企業共済等掛金控除」の内訳欄などに記載されるのが一般的です。

これにより、課税所得が圧縮され、税負担が軽減されます。
ご自身の源泉徴収票を確認し、控除が正しく反映されているか確かめることが大切です。

年収に含まれないことによる3つの節税メリット

選択制DCなどを利用して掛金が年収に含まれなくなると、課税対象となる所得が実質的に下がることになり、税金や固定費の負担が軽減されるという大きなメリットがあります。
具体的には、毎月の給与から天引きされる「所得税」、翌年度に納付する「住民税」、そして健康保険や厚生年金に関わる「自己負担額」の3つの税負担が軽くなります。
これらの節税効果は、長期的な資産形成において重要な要素となります。

メリット1:毎月の所得税の負担が軽減される

選択制DCの掛金は課税対象所得から除外されるため、所得税計算の基礎となる金額が下がります。
所得税は課税所得の金額に応じて税率が変わるため、掛金を拠出することで税率区分が一段階下がる可能性もあります。
その結果、毎月の給与から源泉徴収される所得税額が減少し、手取り額が増える効果が期待できます。

例えば、毎月2万円を掛金として拠出した場合、その2万円には所得税がかからないため、年間にすると大きな節税につながります。

メリット2:翌年に納める住民税額が安くなる

住民税は、前年の1月から12月までの所得を基に計算され、翌年の6月から納付が始まります。
選択制DCの掛金によって課税所得が下がると、その情報に基づいて翌年度の住民税額が算出されます。
つまり、掛金を拠出した年の所得が低くなることで、翌年に支払うべき住民税の金額も安くなります。

所得税がその年の負担を直接的に軽くするのに対し、住民税は翌年度の負担を軽減する効果があり、長期的な視点で見ても節税メリットは持続します。

メリット3:健康保険・厚生年金の算定基礎額が下がる

健康保険料や厚生年金保険料といった自己負担額は、「標準報酬月額」という基準額に基づいて決定されます。
この標準報酬月額は、毎年4月から6月の給与の平均額を基に算出されます。
選択制DCの掛金は給与から除外されるため、この標準報酬月額が下がる可能性があります。

標準報酬月額の等級が1つでも下がると、毎月支払う自己負担額の負担が軽減されます。
ただし、これは将来受け取る年金額などにも影響するため、メリットとデメリットの両面を理解しておく必要があります。

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要注意!書類上の年収が下がることによる4つの影響

選択制DCへの加入で書類上の年収が下がることには、節税というメリットがある一方で、いくつかの注意すべき影響も存在します。
特に、社会保険制度から受けられる給付や、金融機関からの融資、各種手当の所得判定など、生活の様々な場面で影響が出る可能性があります。
これらのデメリットや注意点を事前に把握し、ご自身のライフプランと照らし合わせて、拠出額などを慎重に検討することが求められます。

影響1:将来受け取る厚生年金の受給額が減る可能性がある

将来受け取る老齢厚生年金の金額は、現役時代に納めた厚生年金保険料の総額、つまり標準報酬月額に基づいて計算されます。
選択制DCによって標準報酬月額が下がると、毎月の保険料負担は軽くなりますが、それは同時に将来の年金給付額の計算基礎も低くなることを意味します。

そのため、現在の節税メリットを優先した結果、老後の公的年金の受給額が想定より減少する可能性があります。
企業型DCによる私的年金と公的年金のバランスを考慮することが重要です。

影響2:傷病手当金や出産手当金の給付額が少なくなる場合がある

病気やケガで長期間仕事を休んだ際に支給される「傷病手当金」や、産休中に支給される「出産手当金」は、健康保険から給付される制度です。
これらの手当金の給付額は、支給開始日以前の標準報酬月額を基に算出されます。
選択制DCの利用によって標準報酬月額が下がると、これらの手当金の計算基礎となる金額も低くなってしまいます。

その結果、万が一の事態に受け取れる給付額が減ってしまう可能性があるため、特に若い世代やこれから家族計画を考えている方は注意が必要です。

影響3:住宅ローンなど各種ローンの借入可能額に影響することがある

住宅ローンや自動車ローンなどの審査において、金融機関は申込者の返済能力を判断するために、源泉徴収票に記載された「支払金額」を年収として重視します。
選択制DCに加入していると、この支払金額が実際の給与総額よりも低くなるため、返済能力が低いと評価され、希望する融資額が承認されない、あるいは借入可能額が減額されることがあります。

書類上の年収が下がることは、大きな資金計画に直接的な影響を及ぼすリスクがあることを認識しておくべきです。

影響4:配偶者扶養や児童手当の所得制限判定に関わるケースがある

配偶者控除や児童手当といった公的な制度には、所得制限が設けられている場合があります。
選択制DCの利用によって書類上の年収が下がると、これまで所得制限を超えていた世帯が、手当の対象になったり、税制上の扶養に入れたりするケースが出てきます。
これはデメリットではなく、むしろメリットとなる場合もある「影響」と言えます。

ご自身の世帯収入の状況によっては、企業型DCへの加入が家計にとってプラスに働く可能性も考えられるため、制度の詳細を確認することが推奨されます。

企業型確定拠出年金と年収に関するよくある質問

企業型確定拠出年金(企業型DC)を利用するにあたり、年収への影響に関して疑問を持つ方は少なくありません。
例えば、加入すれば必ず年収が下がるのか、あるいはローン審査で不利になるのかといった具体的な質問がよく寄せられます。

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まとめ

企業型確定拠出年金(企業型DC)の掛金、特に選択制DCのものは給与と見なされないため、課税対象となる年収には含まれません。
これにより、所得税・住民税や自己負担額の負担が軽減されるという節税メリットが生まれます。
しかしその一方で、書類上の年収が下がることで、将来の厚生年金受給額が減少したり、住宅ローンの審査で借入可能額が低くなったりするなどの影響も考えられます。

企業型DCのメリットと注意点の両方を正しく理解し、ご自身のライフプランに合った活用を検討することが重要です。

SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 確定拠出年金導入 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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よくあるご質問

企業型DCに入ると、給与明細の「額面」は減ってしまうの?

「選択制DC」の場合、減ります。 給与の一部を掛金に回す仕組みのため、その分が「基本給」や「諸手当」から差し引かれ、書類上の総支給額(年収)は下がります。ただし、その分、税金や社自己負担額も安くなるため、実質的な「手取り」への影響は抑えられます。

「固定費が安くなる」って、具体的にいくらくらい得をするの?

年収や掛金によりますが、月2万円の拠出で年間数万円単位の削減になるケースが多いです。所得税・住民税の節税に加え、健康保険料や厚生年金保険料の「会社負担分+本人負担分」がダブルで浮くため、貯金よりも効率的な資産形成と言えます。

自己負担額が安くなると、将来もらえる年金は損をしない?

厚生年金の受給額はわずかに減ります。 納める保険料が下がるため、将来の年金計算の基礎となる金額も下がるからです。ただし、企業型DCでの運用益や節税分でその減少分をカバーできる設計になっているのが一般的です。

転職活動で「前職の年収」を伝える時、企業型DCの分はどう書くべき?

「掛金拠出前の金額」を伝えても問題ありません。 ただし、源泉徴収票の数字と食い違うため、「選択制DCを利用していたため、額面上の年収は○万円ですが、拠出前は○万円です」と補足説明をするのが最も誠実で正確です。

会社が全額出してくれるタイプなら、年収への影響はないの?

はい、全くありません。 会社が給与とは「別枠」で拠出してくれる標準的な企業型DCであれば、あなたの源泉徴収票の年収が下がることはありません。デメリットなしで老後資金を上乗せできる、非常にラッキーな制度です。

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このコラムの著者 : 宍戸沙綾

株式会社SMC総研:株式会社日本企業型確定拠出年金センター 企業型DC導入支援グループ
AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)/DCプランナー2級 
前職で税理士法人グループの保険代理店に所属し、税務の観点から企業にとっての最適な金融商品の提案を実施。その経験を活かし、現在は企業型確定拠出年金の導入を多数支援。提携先の税理士事務所や大手保険会社との共催セミナーの主催や社内勉強会を実施。経営者の想いに寄り添い、「経営者と従業員の資産最大化」をサポートしている。

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