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企業型DC導入時の労使合意・従業員説明会の進め方|担当者が押さえるべき実務ポイント

投稿日:2026年07月10日

更新日:2026年07月10日

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この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

企業型DCを導入する際、経営者や人事担当者が意外とつまずきやすいのが「労使合意の取り方」と「従業員への説明会」です。制度の中身は理解していても、いざ従業員にどう説明し、どう同意を得ればよいか分からず導入が停滞してしまうケースは少なくありません。本記事では、確定拠出年金法および厚生労働省の法令解釈通知に基づく制度上の要件を確認したうえで、実務上一般的に行われている説明会の進め方の考え方を解説します。

結論:労使合意と投資教育は法律上の要件、進め方は自社の実情に応じた工夫が必要

企業型DCを実施するには、労働組合または労働者の過半数を代表する者の同意(労使合意)を得たうえで企業型年金規約を作成し、地方厚生(支)局長の承認を受ける必要があります。これは確定拠出年金法に基づく法的要件です。あわせて、事業主には加入者への投資教育を行う努力義務が課されています。一方で、実際に従業員へどう説明し、どのように同意を取り付けていくかという進め方自体は法令で細かく定められているわけではなく、各社の実情に応じた実務上の工夫が求められます。

このセクションのポイント

  • 「労使合意を得ること」「投資教育を行うこと」は法律上の要件ですが、「どう進めるか」は各社が工夫すべき実務ノウハウの領域です。
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企業型DC導入に労使合意が必要な理由

企業型DCの実施には、労働組合(労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者)の同意を得たうえで企業型年金規約を作成し、地方厚生(支)局長の承認を受ける必要があります。これは確定拠出年金法に基づく手続きです。

企業型DCは給与や賞与とは別に、事業主が掛金を拠出し従業員自身が運用する退職給付制度であり、従業員の将来の資産形成に直結する重要な制度です。そのため、事業主が一方的に導入を決めるのではなく、労働者側の意思を反映させる仕組みとして労使合意が法律上求められています。

このセクションのポイント

  • 労使合意は「あった方が望ましい」ものではなく、法律上必須の手続きです。これを経ずに規約承認を得ることはできません。

労使合意の取り方(一般的な進め方)

労働者の過半数を代表する者を選出する場合、一般的には、投票や挙手、話し合いなど民主的な方法によって選出することが望ましいとされています(労働基準法における過半数代表者選出の考え方に準じます)。具体的な選出方法の適法性については、法令の詳細な要件があるため、導入にあたっては顧問社会保険労務士・弁護士等の専門家に確認することをおすすめします。

実務上は、次のような流れで進められることが一般的です(法令で定められた手順ではなく、一般的な実務の流れとしてご参考にしてください)。

  1. 制度導入の方針を経営層で固める
  2. 従業員向けに制度概要の説明会を実施する
  3. 労働者の過半数を代表する者を選出する(労働組合がある場合は労働組合との協議)
  4. 制度内容(拠出額、対象者範囲、運用商品ラインナップ等)について労使で協議する
  5. 過半数代表者等から同意を取得する
  6. 企業型年金規約を作成し、地方厚生(支)局へ承認申請を行う

このセクションのポイント

  • 同意取得を急ぐあまり説明を省略すると、後々従業員の不満や誤解につながりやすくなります。順序としては「説明→協議→同意」が基本です。
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事業主に課される投資教育義務

企業型DCを実施する事業主には、加入者への投資教育を行う義務(努力義務)が課されています。加入時の投資教育では、次の3点の理解を目的として、基礎的事項を中心に行うことが効果的とされています(厚生労働省の法令解釈通知に基づく)。

  1. 運用の指図の意味を理解できること
  2. 具体的な資産配分を自ら行えること
  3. 運用による収益状況の把握を自ら行えること

投資教育の提供方法としては、資料やビデオの配布(電磁的方法を含む)、説明会の開催などが挙げられています。従業員説明会は、単に制度の同意を取るための場ではなく、この投資教育の一環としても重要な位置づけを持ちます。

このセクションのポイント

  •  説明会は「同意を取るためのイベント」ではなく、「投資教育義務を果たす場」でもあるという二重の目的を意識して設計することが重要です。

従業員説明会の進め方(実務上の工夫)

法令上、説明会の具体的な進め方が細かく定められているわけではありませんが、実務上は次のような工夫が有効とされています。

  • 制度の目的を先に伝える:「なぜ会社が企業型DCを導入するのか」という背景(退職金制度の見直し、福利厚生の強化等)を先に説明すると、従業員の納得感が高まりやすいとされています。
  • 専門用語をかみ砕く:「拠出」「運用指図」「特別法人税」など聞き慣れない用語は、図解や具体例を交えて説明することが効果的とされています。
  • 質疑応答の時間を十分に確保する:初めて企業型DCに触れる従業員は、「掛金は減らないのか」「元本割れしたらどうなるのか」といった不安を抱きやすいため、質問しやすい雰囲気づくりが重要です。
  • 複数回・複数形式で実施する:一度の説明会だけで全員の理解を得るのは難しいことが多く、資料配布や動画視聴など複数のチャネルを組み合わせることが一般的です。
  • 反対意見への向き合い方:一部の従業員が制度導入に消極的な場合でも、法律上必要なのはあくまで「労働者の過半数を代表する者」の同意であり、全従業員の個別同意までは求められていません。ただし、丁寧な説明を尽くすことは、その後の円滑な制度運営のために実務上重要とされています。

このセクションのポイント

  • 説明会は一度で終わらせず、資料配布・動画・質疑応答など複数の手段を組み合わせることが、実務上は効果的とされています。
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同意書のひな形(参考例)

以下は、労働者の過半数を代表する者からの同意書の一般的な記載項目のイメージです。あくまで実務上の参考例であり、法的に定められた様式ではありません。実際の作成にあたっては、運営管理機関や社会保険労務士・弁護士等の専門家が提供する書式・助言を必ずご確認ください。

企業型確定拠出年金制度の導入に関する同意書(参考例・法定様式ではありません)

〇〇株式会社 代表取締役 〇〇 〇〇 殿

私は、貴社が企業型確定拠出年金制度を実施することについて、
労働者の過半数を代表する者として、下記内容を確認のうえ同意します。

記
1. 制度の実施日:令和〇年〇月〇日(予定)
2. 対象者の範囲:〇〇
3. 拠出額の設計:〇〇
4. その他規約に定める事項について、事前に説明を受けたことを確認する

令和〇年〇月〇日
労働者の過半数を代表する者
氏名:           印

このセクションのポイント

  • 同意書の様式に法定の決まりはありませんが、「いつ」「誰が」「何に」同意したかを明確に記録として残すことが実務上重要です。

SMC税理士法人からのアドバイス

企業型DCの導入プロセスにおいて、労使合意と投資教育は「通過点」ではなく、その後の制度運営の土台になる重要なステップです。特に次の点は軽視されがちですが、実務上のトラブル防止のために意識していただきたいポイントです。

  1. 過半数代表者の選出プロセスを議事録等で記録に残しておく
  2. 説明会の実施記録(開催日時、参加者、配布資料)を保管し、投資教育義務を果たしたことのエビデンスとする
  3. 反対意見が出た場合も、感情的な対立にならないよう、制度のメリット・デメリットを客観的に説明する
  4. 同意書や説明会資料の作成にあたっては、法的に確定した様式がない部分こそ専門家のレビューを受ける

当法人では、企業型DC導入時の労使合意プロセスの設計や、従業員説明会用資料の作成支援など、制度導入の初期段階からのご相談を承っております。制度の複雑さゆえに従業員説明でつまずく企業様は多いため、早めのご相談をおすすめします。

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まとめ

  1. 企業型DCの実施には、労働者の過半数を代表する者等の同意(労使合意)が確定拠出年金法上の要件として必須
  2. 事業主には加入者への投資教育を行う努力義務があり、加入時は基礎的事項を中心に行うことが効果的とされる
  3. 過半数代表者の選出方法や説明会の進め方自体は法令で細かく定められておらず、実務上の工夫が求められる
  4. 説明会は同意取得の場であると同時に、投資教育義務を果たす場としての意味も持つ
  5. 同意書の様式に法的な決まりはないが、記録として残すことが実務上重要
  6. 労使合意プロセスの設計は、社会保険労務士・税理士等の専門家に相談しながら進めることが望ましい

出典・参考法令

SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 確定拠出年金導入 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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よくあるご質問

企業型DCの導入には従業員全員の同意が必要ですか?

法律上必要なのは、労働組合または労働者の過半数を代表する者の同意です。全従業員個別の同意までは法律上求められていません。

過半数代表者はどのように選べばよいですか?

一般的には投票や挙手など民主的な方法での選出が望ましいとされていますが、具体的な適法性については社会保険労務士や弁護士等の専門家にご確認いただくことをおすすめします。

従業員説明会は何回開催すればよいですか?

法令上の開催回数の定めはありません。実務上は、資料配布や動画視聴なども組み合わせながら複数回実施することが望ましいとされています。

投資教育を行わないと罰則がありますか?

投資教育は努力義務とされています。具体的な罰則の有無や詳細については、地方厚生(支)局や専門家にご確認ください。

従業員から反対意見が出た場合、導入を断念すべきですか?

法律上必要なのは過半数代表者等の同意であり、全員の賛成までは求められていません。ただし丁寧な説明を尽くし、納得感を高める努力は実務上重要とされています。

同意書には決まった様式がありますか?

法的に確定した様式はありません。記録として「いつ・誰が・何に同意したか」が分かる形式であれば足りると考えられますが、詳細は専門家にご確認ください。

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このコラムの著者 : 宍戸沙綾

株式会社SMC総研:株式会社日本企業型確定拠出年金センター 企業型DC導入支援グループ
AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)/DCプランナー2級 
前職で税理士法人グループの保険代理店に所属し、税務の観点から企業にとっての最適な金融商品の提案を実施。その経験を活かし、現在は企業型確定拠出年金の導入を多数支援。提携先の税理士事務所や大手保険会社との共催セミナーの主催や社内勉強会を実施。経営者の想いに寄り添い、「経営者と従業員の資産最大化」をサポートしている。

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