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企業型DCにおける事業主の投資教育義務|2026年4月改正で退職時説明が前倒しに

投稿日:2026年07月10日

更新日:2026年07月10日

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この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

企業型DCを導入した事業主には、加入者に対する「投資教育」を行う努力義務が課されています。しかし、「導入時に一度説明会をすれば終わり」と誤解しているケースも少なくありません。実際には、加入時・加入後・退職時のそれぞれの場面で求められる対応が異なり、2026年4月の改正では退職時の説明タイミングにも重要な変更がありました。本記事では、投資教育義務の全体像と最新の改正内容を整理します。

結論:投資教育義務は「加入時」「加入後(継続)」「退職時」の3段階に分かれる

企業型DCを実施する事業主には、加入者への投資教育を行う努力義務が課されています。これは加入時の一度きりの説明で完結するものではなく、加入後の継続的な投資教育、そして退職等で資格を喪失する際の説明という3つの場面に分かれます。特に2026年4月1日施行の改正では、退職時の説明義務のタイミングが「資格を喪失したとき」から「資格の喪失することが見込まれるとき」へと前倒しされ、退職前の事前説明が求められるようになりました。これは、退職後に手続きが行われず資産が自動移換されてしまうケースを減らす目的とされています。

このセクションのポイント

  • 投資教育は「入社時だけ」のものではなく、在職中の継続教育、そして退職前の事前説明までを含む一連の義務です。
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投資教育義務の法的根拠

確定拠出年金制度では、企業型DCを実施する事業主(および個人型を運営する国民年金基金連合会)に対して、加入者への投資教育を行う義務が定められています。これは努力義務とされていますが、加入者が自らの資産を適切に運用できるようにするための重要な責務として位置づけられています。

投資教育の具体的な内容は、大きく次の4つに整理されます。

  1. 確定拠出年金制度等の具体的な内容
  2. 運用商品の仕組みと特徴
  3. 資産運用の基礎知識
  4. 確定拠出年金制度を含めた老後の生活設計

このセクションのポイント

  • 投資教育は単なる「制度の説明」ではなく、資産運用の基礎知識や老後の生活設計まで含む幅広い内容が想定されています。

加入時の投資教育

加入時の投資教育では、次の3点の理解を目的として、基礎的事項を中心に行うことが効果的とされています(法令解釈通知に基づく)。

  1. 運用の指図の意味を理解できること
  2. 具体的な資産配分を自ら行えること
  3. 運用による収益状況の把握を自ら行えること

提供方法としては、資料やビデオの配布(電磁的方法を含む)、説明会の開催などが挙げられます。加入時点でこれらの基礎を押さえておくことが、その後の適切な運用判断の土台になります。

このセクションのポイント

  • 加入時教育のゴールは「従業員が自分で資産配分を決め、その結果を把握できる状態」にすることです。
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加入後の継続投資教育

加入後も、事業主には継続的な投資教育を行う努力義務があります。目的は、加入時に得た知識のスキルアップやフォローアップ、そして従業員それぞれのライフプランに応じた運用サポートにあります。

継続投資教育は、人的・財政的な理由で事業主が自ら実施することが困難な場合、運営管理機関や企業年金連合会等に外部委託することが可能です。なお、2020年6月5日施行の見直しにより、iDeCoの継続投資教育について国民年金基金連合会も企業年金連合会に委託できるようになりました。

このセクションのポイント

  • 継続投資教育は自社で全て抱え込む必要はなく、運営管理機関等への外部委託という選択肢があります。人事担当者が一人で抱え込みすぎないことが重要です。

退職時の説明義務と2026年4月改正のポイント

確定拠出年金制度では、加入者が資格を喪失した時、または企業型年金が終了した時に、個人別管理資産の移換に関する事項を説明し、必要な手続きを行うよう周知する義務が事業主に課されています。

この点について、2026年4月1日施行の改正で重要な見直しがありました。従来は「資格を喪失したとき又は企業型DCが終了したとき」に説明を行うこととされていましたが、改正後は「資格の喪失することが見込まれるとき又は企業型DCを終了しようとするとき」に前倒しされ、退職等により資格喪失が見込まれる段階での事前説明が義務付けられました。

この改正の狙いは、退職後に本人が手続きを行わないまま個人別管理資産が自動移換されてしまうケースを減らすことにあるとされています。自動移換されると資産の運用が行われなくなるなど、本人にとって不利益が生じやすいため、退職前の早い段階で必要な手続きを周知することが重要とされています。

このセクションのポイント

  • 「辞めてから説明する」のではなく「辞める前に説明する」という発想の転換が2026年4月改正の要点です。人事の退職手続きフローにこの説明ステップを組み込む必要があります。
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継続投資教育の実施状況の報告方法の変化

継続投資教育に関する事業主の報告実務にも変化がありました。2022年3月1日以降に終了する事業年度からの業務報告書では、継続投資教育の実施状況の記載欄が削除されています。その代わりに、概ね5年に1度程度、地方厚生(支)局からの依頼に基づき事業主が履行状況を報告し、実施を促していくという運用に変更されています。

これにより、毎年の業務報告書での報告義務はなくなったものの、投資教育そのものを行う努力義務がなくなったわけではない点に注意が必要です。

このセクションのポイント

  • 「毎年の報告義務がなくなった=投資教育をしなくてよい」という誤解は禁物です。努力義務自体は継続しています。

SMC税理士法人からのアドバイス

投資教育義務は努力義務であるがゆえに、「後回しにしても罰則がないのでは」と軽視されがちですが、従業員の資産形成に直結する重要な責務であり、企業の福利厚生に対する姿勢を示す指標にもなります。特に2026年4月の改正を踏まえ、次の点を見直すことをおすすめします。

  1. 退職手続きのフローに「個人別管理資産の移換に関する説明」のタイミングを、退職前(資格喪失が見込まれる段階)に組み込み直す
  2. 継続投資教育を自社だけで担うのが難しい場合は、運営管理機関への委託を検討する
  3. 業務報告書での記載義務がなくなった項目についても、実施記録は社内で保管しておく
  4. 地方厚生(支)局から履行状況の報告を求められた際に備え、投資教育の実施履歴を整理しておく

当法人では、企業型DCの投資教育の企画・運営や、退職時説明の実務フロー整備についてもご相談を承っております。制度を「導入して終わり」にせず、継続的に運用していくための体制づくりをサポートいたします。

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まとめ

  1. 投資教育義務は「加入時」「加入後(継続)」「退職時」の3段階に分かれる努力義務
  2. 加入時教育は、運用指図の理解・資産配分・収益状況の把握という基礎的事項が中心
  3. 継続投資教育は運営管理機関等への外部委託が可能
  4. 2026年4月施行の改正で、退職時説明のタイミングが「資格喪失時」から「資格喪失が見込まれるとき」に前倒しされた
  5. 前倒しの目的は、自動移換される個人別管理資産を減らすこと
  6. 2022年3月以降、継続投資教育の業務報告書への記載は廃止され、5年に1度程度の履行状況報告に変更された

出典・参考法令

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よくあるご質問

投資教育を行わないと罰則がありますか。

投資教育は努力義務とされています。具体的な罰則の有無や詳細については地方厚生(支)局や専門家にご確認ください。

継続投資教育は自社で必ず実施しなければなりませんか。

人的・財政的な理由で実施が困難な場合は、運営管理機関や企業年金連合会等に外部委託することが可能です。

2026年4月の改正で何が変わったのですか。

退職時の個人別管理資産の移換に関する説明義務のタイミングが、「資格を喪失したとき」から「資格の喪失することが見込まれるとき」に前倒しされました。退職前の事前説明が求められます。

なぜ退職時の説明タイミングが前倒しされたのですか。

退職後に手続きが行われず、個人別管理資産が自動移換されてしまうケースを減らす目的とされています。

継続投資教育は業務報告書に記載する必要がなくなったのですか。

2022年3月1日以降に終了する事業年度から、業務報告書での継続投資教育の記載欄は削除されています。ただし、概ね5年に1度程度、地方厚生(支)局からの依頼に基づく履行状況の報告が求められる運用になっています。

投資教育の内容として具体的に何を伝えればよいですか。

確定拠出年金制度の具体的内容、運用商品の仕組みと特徴、資産運用の基礎知識、老後の生活設計の4つが主な内容として整理されています。

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このコラムの著者 : 宍戸沙綾

株式会社SMC総研:株式会社日本企業型確定拠出年金センター 企業型DC導入支援グループ
AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)/DCプランナー2級 
前職で税理士法人グループの保険代理店に所属し、税務の観点から企業にとっての最適な金融商品の提案を実施。その経験を活かし、現在は企業型確定拠出年金の導入を多数支援。提携先の税理士事務所や大手保険会社との共催セミナーの主催や社内勉強会を実施。経営者の想いに寄り添い、「経営者と従業員の資産最大化」をサポートしている。

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