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会社が解散・倒産したら企業型DCの資産はどうなる?|従業員の年金資産を守る仕組みと注意点

投稿日:2026年07月10日

更新日:2026年07月10日

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この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

会社の解散や倒産は、経営者にとっても従業員にとっても大きな不安を伴う出来事です。特に「積み立ててきた企業型確定拠出年金(企業型DC)の資産は、会社と一緒に失われてしまうのではないか」という不安を抱く従業員は少なくありません。結論から言えば、企業型DCの資産は制度上、加入者ごとに区分して管理される仕組みになっています。本記事では、会社解散・倒産時に企業型DC資産がどのように扱われるのか、経営者・人事労務担当者が知っておくべき基本的な考え方と、2026年4月施行の法改正のポイントを整理します。なお、倒産手続きの具体的な法的取扱いは高度な専門判断を要するため、本記事はあくまで一般的な制度理解の整理にとどまる点にご留意ください。

結論:企業型DCの資産は加入者ごとに区分管理され、原則として会社の財産とは別に扱われる

企業型DCの個人別管理資産は、加入者ごとに区分され、資産管理機関(信託銀行等)において管理される制度設計になっています。そのため、一般的には会社の財産そのものとは別に扱われる仕組みと理解されています。ただし、会社が解散・倒産した場合、企業型DC制度自体は終了することになり、加入者は資格を喪失し、原則として資格喪失後6ヶ月以内に他の確定拠出年金制度へ資産を移換する手続きが必要になります。倒産手続きにおける個別具体的な法的取扱い(未払い掛金の扱いなど)については、破産管財人や弁護士、社会保険労務士等の専門家に確認することが不可欠です。

このセクションのポイント

  • 企業型DCの資産は加入者ごとに区分管理される制度設計であり、会社の解散・倒産と資産の帰属は基本的に別の話です。ただし制度終了に伴う移換手続きは別途必要になります。
法人向け退職金積立の方法を比較|税メリットと経費になる制度とは

企業型DCの資産管理の基本的な仕組み

企業型DCは、確定拠出年金法に基づき、企業年金規約の承認を受けた事業主が実施する制度です。加入対象者は、実施企業に勤務する厚生年金保険の被保険者となります。

制度の大きな特徴は、拠出された資産が加入者ごとに個人別に区分管理される「個人別管理資産」であることです。運用についても、加入者自身が運営管理機関の提示する運用商品(投資信託、預金、保険等)の中から選択する仕組みになっており、会社が資産を一括して保有・運用しているわけではありません。

このように、企業型DCは制度の建て付け自体が「会社の資産」と「加入者個人の年金資産」を分けて考える構造になっている点が、退職金の内部留保(社内積立)などとの大きな違いと言えます。

このセクションのポイント

  • 企業型DCは、そもそも会社が資産を保有する制度ではなく、加入者ごとに区分管理された個人別管理資産を、外部の資産管理機関が管理する仕組みです。

会社解散・倒産時に企業型DC制度はどうなるか

会社が解散・倒産すると、多くの場合、企業型DCの制度自体も終了することになります。制度が終了し、加入者が資格を喪失した場合、原則として資格喪失後6ヶ月以内に、他の確定拠出年金制度(企業型DC、確定給付企業年金、iDeCo、通算企業年金)へ資産を移換する必要があります。

一般的な制度理解としては、個人別管理資産は加入者ごとに区分管理されているため、会社の財産とは区別されるという考え方が成り立ちます。しかし、倒産手続き(破産、特別清算等)における具体的な取扱い、たとえば未払いとなっている事業主掛金がある場合の労働債権としての位置づけや、資産管理機関との契約解除に関する具体的な法的手続きについては、本記事の調査で確認できた厚生労働省の一次情報の範囲を超える論点です。

そのため、「倒産しても資産は必ず100%保全される」といった断定はできません。実際に会社の倒産に直面した場合は、破産管財人、弁護士、社会保険労務士等の専門家に個別の状況を確認することが不可欠です。

このセクションのポイント

  • 個人別管理資産が区分管理されているという制度の建て付けは事実ですが、倒産手続きにおける具体的な扱いは専門家への確認が必須です。断定的な結論を出せる領域ではありません。
企業型DC規約変更の手続き完全ガイド|「軽微」「特に軽微」の区分と届出の考え方

2026年4月施行の改正で何が変わるか

2025年の制度改正により、2026年4月1日から、事業主が企業型DCを終了しようとするときの加入者への説明義務のタイミングが見直されます。

改正前は、企業型DCが終了した後に説明を行う運用が中心でしたが、改正後は「終了しようとするとき」、つまり終了前の段階で加入者に事前説明を行うことが義務付けられます。これは、資産の移換手続きが行われないまま資産が国民年金基金連合会に自動移換されてしまうケースを減らす目的があるとされています。

会社の解散・倒産という場面では、経営者・人事担当者が平常時のようにスムーズに事務手続きを進められないことも想定されます。だからこそ、制度終了の見通しが立った段階で、できるだけ早く従業員への周知と移換手続きの案内を行うことが重要になります。

このセクションのポイント

  • 2026年4月からは、企業型DC終了の「事前」に加入者への説明を行うことが義務化されます。倒産・解散が見込まれる局面でも、早めの周知が求められます。

経営者・人事担当者が実務上気をつけたいこと

会社の解散・倒産に直面した場合、経営者や人事労務担当者としては、資金繰りや従業員の雇用問題への対応に追われがちですが、企業型DCについても以下のような点を意識しておく必要があります。

留意点 内容
早期の情報把握 運営管理機関・資産管理機関に制度終了の見通しを早めに連絡し、必要な手続きを確認する
従業員への説明 資格喪失後の移換手続き(6ヶ月以内)の重要性を従業員に周知する
専門家との連携 破産管財人、弁護士、社会保険労務士、税理士等、それぞれの専門領域に応じて相談する
自動移換の防止 従業員が手続きを放置すると自動移換となり不利益が生じうるため、案内文書などで注意喚起する

倒産という緊急事態においても、従業員の老後資産に関わる手続きである以上、可能な範囲で丁寧な情報提供を行うことが望ましいと考えられます。

このセクションのポイント

  • 倒産・解散時こそ、企業型DCの移換手続きについて従業員へのフォローが疎かになりがちです。専門家と連携しながら、できる範囲での周知を心がけましょう。
企業型確定拠出年金の受け取り方|一時金と年金どちらが得?税金と手続きを解説

SMC税理士法人からのアドバイス

SMC税理士法人は中小企業の税務・経営支援を専門とし、企業型DC導入支援にも携わる立場から申し上げると、会社の解散・倒産といった局面での企業型DCの取扱いは、税務・労務・倒産法の各分野が交錯する非常にデリケートな論点です。私どもとしても、税理士の専門範囲を超える倒産手続きの詳細や労働債権の扱いについて、断定的な助言を行うことは適切ではないと考えています。

一方で、経営が厳しい状況に至る前の段階であれば、企業型DCの制度設計や掛金負担の見直し、退職金制度全体のあり方について、税理士の立場から資金繰りとのバランスを踏まえたご提案が可能です。制度導入時から「もしものとき」を見据えた設計をしておくことが、経営者・従業員双方にとって安心材料になります。まずは顧問税理士や運営管理機関にご相談いただくことをお勧めします。

まとめ

  1. 企業型DCの個人別管理資産は加入者ごとに区分管理され、資産管理機関が管理する制度設計になっている。
  2. 会社が解散・倒産すると企業型DC制度自体は終了し、加入者は資格を喪失、原則6ヶ月以内に他の制度へ資産を移換する必要がある。
  3. 倒産手続きにおける具体的な法的取扱い(労働債権としての扱い等)は、本記事の範囲を超える専門論点であり、断定的な結論は避けるべきである。
  4. 2026年4月施行の改正により、企業型DC終了の「事前」に加入者への説明を行うことが事業主の義務として明確化される。
  5. 経営者・人事担当者は、倒産・解散が見込まれる段階で早めに運営管理機関・専門家と連携し、従業員への周知を行うことが望ましい。
法人向け退職金積立の方法を比較|税メリットと経費になる制度とは

出典・参考法令

※倒産手続き・破産手続きにおける個別具体的な法的取扱いについては、上記出典に加えて、破産管財人・弁護士・社会保険労務士等の専門家に必ずご確認ください。

SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 確定拠出年金導入 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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よくあるご質問

会社が倒産したら企業型DCの積立金は没収されてしまいますか?

企業型DCの個人別管理資産は加入者ごとに区分管理される制度設計になっており、一般的には会社の財産とは別に扱われると理解されています。ただし倒産手続きの具体的な取扱いは個別事案によるため、断定はできません。詳細は専門家にご確認ください。

会社解散後、企業型DCの資産はどうすればよいですか?

資格喪失後、原則として6ヶ月以内に、企業型DC・確定給付企業年金・iDeCo・通算企業年金のいずれかへ資産を移換する手続きが必要です。手続きをしないと自動移換となり不利益が生じる可能性があります。

倒産時に未払いの事業主掛金がある場合はどうなりますか?

未払い掛金の労働債権としての扱いなど、倒産手続き特有の論点については、本記事で確認できた公的情報の範囲を超えます。破産管財人や弁護士、社会保険労務士にご相談ください。

2026年4月の法改正は何が変わるのですか?

事業主が企業型DCを終了しようとするときの加入者への説明義務のタイミングが前倒しされ、終了前の事前説明が義務付けられます。自動移換を減らす目的があるとされています。

経営が厳しくなってきた段階で、企業型DCについて何をすべきですか?

早めに運営管理機関や顧問税理士、社会保険労務士に相談し、従業員への周知や移換手続きの準備を進めることが望ましいです。手続きが遅れるほど従業員の不利益や事務負担が大きくなる可能性があります。

自動移換されるとどのような不利益がありますか?

自動移換されると資産が運用されない状態になり、管理手数料が発生するほか、確定拠出年金の通算加入者等期間としてカウントされなくなるといった不利益が一般的に知られています。

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このコラムの著者 : 宍戸沙綾

株式会社SMC総研:株式会社日本企業型確定拠出年金センター 企業型DC導入支援グループ
AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)/DCプランナー2級 
前職で税理士法人グループの保険代理店に所属し、税務の観点から企業にとっての最適な金融商品の提案を実施。その経験を活かし、現在は企業型確定拠出年金の導入を多数支援。提携先の税理士事務所や大手保険会社との共催セミナーの主催や社内勉強会を実施。経営者の想いに寄り添い、「経営者と従業員の資産最大化」をサポートしている。

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