投稿日:2026年07月03日
更新日:2026年08月10日
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「うちの企業型DCの規約、加入可能年齢は何歳になっているか把握していますか」と伺うと、答えに詰まる経営者・人事担当者の方が少なくありません。2022年5月1日の改正により、企業型DCの加入可能年齢は70歳未満まで拡大されましたが、規約が改正前の水準のまま据え置かれている中小企業は今も一定数存在すると考えられます。高齢人材の活用が社会的なテーマとなる中、本記事では加入可能年齢拡大の内容と、規約見直しの検討ポイント、そして見落としがちな重要な注意点を解説します。
2022年5月1日施行の改正により、企業型DCの加入可能年齢は、厚生年金保険の被保険者であれば70歳未満まで加入者となれるよう拡大されました。改正前は原則60歳未満が加入者であり、60歳以降は規約に定めがある場合に限り65歳未満まで加入できるという仕組みでした。ただし、加入可能年齢は企業ごとに規約で定める事項であり、規約を改定していない企業では改正前の年齢設定のまま運用されている可能性があります。自社の規約を確認し、必要に応じて見直すことが重要です。
確定給付企業年金と企業型確定拠出年金の違いを比較!どっちがお得?改正前の企業型DCでは、60歳未満の厚生年金保険の被保険者が加入者となることが原則で、60歳以降については、規約に定めがある場合に限り65歳未満まで加入を継続できる仕組みでした。
2022年5月1日の改正により、この上限が引き上げられ、厚生年金保険の被保険者(70歳未満)であれば加入者とすることができるようになりました。これにより、65歳を超えて働く従業員についても、企業型DCへの加入を通じた資産形成の継続が制度上可能になっています。
ただし、ここで重要なのは、「70歳未満まで加入できるようになった」ことと「自動的に70歳まで加入できる」こととは異なるという点です。企業ごとに規約で定める加入可能年齢が実際の上限を決めるため、一定の年齢を60歳より低い年齢とすることはできないという制約はあるものの、上限をどこまで引き上げるかは各企業の規約次第です。
このセクションのポイント
2022年の改正からすでに数年が経過していますが、規約の加入可能年齢が60歳や65歳のまま据え置かれている中小企業は少なくない可能性があります。規約の見直しは義務ではなく、企業の任意によるものであるため、特段の対応を取らなければ改正前の年齢設定のまま運用が続くことになります。
これにより生じ得る事態として、次のようなケースが考えられます。
企業型DCの拠出限度額を超過したらどうなる|原則と相談すべき窓口を解説このセクションのポイント
- 規約の見直しは「制度が変わったら自動的に反映される」ものではありません。自社の規約を能動的に確認し、必要であれば変更手続きを取ることが求められます。
加入可能年齢の拡大を検討する際に、必ず押さえておくべき重要な注意点があります。それは、企業型DCの老齢給付金を一度受給した者は、その後、企業型DCに再加入することができないという点です。
例えば、60歳の時点で企業型DCの老齢給付金を受け取ってしまった従業員が、その後も継続雇用され、70歳まで加入可能な規約に変更されたとしても、その従業員は再加入することができません。これは、給付金の受給と加入資格の間に非対称性がある重要なルールです。
なお、この非対称性はiDeCo(個人型確定拠出年金)との関係でも見られます。iDeCoの老齢給付金を受給した者であっても、企業型DCへの加入自体は可能とされています。つまり、「企業型DCの給付を受けたら企業型DCには戻れないが、iDeCoの給付を受けても企業型DCには加入できる」という非対称な扱いになっている点は、従業員への説明時に誤解が生じやすいポイントです。
このセクションのポイント
70歳までの就業機会確保が努力義務とされるなど、高齢者雇用を巡る社会的な動きが進む中、65歳以降も働き続ける従業員が増加していくことが見込まれます。こうした流れの中で、企業型DCの加入可能年齢を70歳未満まで拡大しておくことは、高齢人材の資産形成継続を支援し、長く働いてもらうためのインセンティブの一つになり得ます。
特に、定年後再雇用によって給与水準が変動する従業員にとって、企業型DCへの加入継続は、老後資産形成の観点から重要な意味を持ちます。規約の加入可能年齢を見直すことは、高齢人材活用施策の一環として検討する価値があるテーマです。
企業型DC導入時の労使合意・従業員説明会の進め方|担当者が押さえるべき実務ポイント企業型DCそのものの制度とは別に、関連する動向として、iDeCo(個人型確定拠出年金)についても2026年12月1日に加入可能年齢のさらなる引き上げが予定されています。現行制度ではiDeCoに加入するには国民年金被保険者であることが要件とされていますが、改正後は60歳以上70歳未満の一定の要件を満たす者(いわゆる「第5号加入者」)にもiDeCoへの加入・継続拠出が認められる予定です。また、同時に拠出限度額の見直しも予定されており、第2号加入者(会社員等)の拠出限度額は、企業年金の有無によらず月額6.2万円に統一される予定とされています。
これはあくまでiDeCo(個人型)に関する改正動向であり、企業型DCの加入可能年齢のルール(本記事で解説した70歳未満までの拡大)とは制度上別のものです。混同しないよう注意が必要ですが、企業型DCとiDeCoを併用する従業員にとっては影響し得る動向であるため、施行に向けて情報を確認しておくことをお勧めします。
このセクションのポイント
私たちSMC税理士法人は、企業型DCの導入・規約見直しを支援する立場から、「加入可能年齢の規約が改正前のままになっていた」というケースにこれまで複数遭遇してきました。特に、制度導入時の規約をそのまま長年運用している中小企業では、法改正があったこと自体を把握していないケースも見受けられます。
規約の見直しを検討する際は、単に年齢の上限を引き上げるだけでなく、老齢給付金の受給時期に関する従業員への説明方針もあわせて整理することをお勧めします。65歳到達時に給付金を受給してしまうと、その後再加入できなくなるため、継続雇用を予定している従業員に対しては、給付金の受給タイミングを慎重に検討するよう案内する必要があります。規約変更の手続きや、高齢人材活用と絡めた制度設計については、運営管理機関と顧問税理士の双方に相談しながら進めることをお勧めします。
SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 確定拠出年金導入 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
2022年5月1日の改正により、厚生年金保険の被保険者であれば70歳未満まで加入できるよう制度上拡大されました。ただし実際の上限年齢は企業ごとの規約で定められているため、自社の規約をご確認ください。
規約変更の手続きを検討することをお勧めします。高齢人材の継続雇用を進めている場合、加入可能年齢の見直しは資産形成支援の観点から有効な施策になり得ます。手続きは運営管理機関にご相談ください。
できません。企業型DCの老齢給付金を受給した者は、その後企業型DCに再加入することができないというルールがあります。継続雇用を予定している従業員には、給付金受給のタイミングに注意が必要です。
可能です。iDeCoの老齢給付金を受給した者であっても、企業型DCへの加入は認められています。この点は企業型DC受給者との非対称なルールとして押さえておく必要があります。
別の制度改正です。本記事で解説した70歳未満までの拡大は2022年5月施行の企業型DCの改正であり、2026年12月施行予定のiDeCo改正は、iDeCo(個人型)の加入可能年齢や拠出限度額に関する別の改正です。混同しないようご注意ください。
義務ではありません。企業ごとの規約に委ねられているため、見直しを行わなければ改正前の年齢設定のまま運用が続きます。高齢人材活用の観点から任意で検討することをお勧めします。