投稿日:2026年04月09日
更新日:2026年06月09日
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企業型確定拠出年金(企業型DC)のマッチング拠出とは、会社が拠出する掛金に加えて、従業員自身が掛金を上乗せできる制度です。
この制度の最大のメリットは、上乗せした掛金の全額が所得控除の対象となり、高い節税効果が期待できる点にあります。
この記事では、マッチング拠出の仕組みやメリット・デメリット、iDeCoとの違い、具体的な始め方までをわかりやすく解説します。
目次
マッチング拠出とは、企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している従業員が、会社の掛金に加えて自分自身で掛金を上乗せして拠出できる仕組みです。
本来、企業型DCの掛金は会社が全額を負担しますが、マッチング拠出を導入している企業では、従業員が任意で加入し、給与天引きで追加の掛金を拠出できます。
これにより、従業員は会社の制度を活用しながら、より積極的に将来のための資産形成を行えるようになります。
ただし、従業員が拠出できる金額には、会社の掛金額を超えないことなどの一定のルールが定められています。
企業型DCとふるさと納税の併用|限度額計算とシミュレーターの使い方マッチング拠出を活用する最大の魅力は、その高い節税効果にあります。
掛金を拠出する時、運用している時、そして将来給付を受け取る時の3つのタイミングで税制上の優遇措置が受けられるように設計されています。
これにより、効率的な資産形成が可能になります。
具体的にどのような税金の負担が軽減されるのか、3つのメリットに分けて詳しく見ていきましょう。
マッチング拠出で従業員が拠出した掛金は、その全額が「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除の対象になります。
所得控除とは、課税対象となる所得金額から一定額を差し引ける仕組みです。
これにより、所得税や住民税の計算のもととなる課税所得が少なくなるため、結果的に税金の負担が軽減されます。
例えば、年収500万円の人が毎月1万円(年間12万円)を拠出した場合、所得税・住民税合わせて年間約2.4万円の節税効果が期待できます。
この控除の手続きは、会社員であれば年末調整で行われるため、個人で確定申告をする手間は基本的にかかりません。
通常、投資信託などの金融商品を運用して得た利益には、20.315%の税金がかかります。
しかし、マッチング拠出を含む確定拠出年金制度の口座内で得られた運用益は、全額が非課税となります。
税金が引かれないため、得られた利益をそのまま再投資に回すことができ、効率的に資産を増やすことが期待できる複利効果を最大限に活かせます。
長期にわたる資産形成において、この運用益非課税のメリットは非常に大きく、最終的に受け取る金額に大きな差を生む重要な要素となります。
マッチング拠出で積み立てた資産は、原則60歳以降に受け取りますが、その際にも税制上の優遇措置が用意されています。
受け取り方には、年金形式(分割)と一時金形式(一括)があり、それぞれ異なる控除が適用されます。
年金として受け取る場合は「公的年金等控除」の対象となり、税負担が軽減されます。
一方、一時金として一括で受け取る場合は「退職所得控除」が適用されます。
退職所得控除は他の所得と分離して課税されるうえ、控除額が大きいため、税負担を大幅に抑えられる可能性があります。
どちらの受け取り方が有利になるかは、他の退職金や公的年金の受給額によって異なります。
マッチング拠出には大きな節税メリットがある一方、始める前に理解しておくべきデメリットや注意点も存在します。
特に、一度拠出すると原則60歳まで引き出せないという資金の流動性の低さは、ライフプランを考える上で重要な制約となります。
また、拠出できる金額には上限があります。
なお、掛金は給与ではないため、厚生年金保険料などの固定費の算定基礎には含まれません。
これらの点を踏まえ、自身の状況に合っているか慎重に判断することが求められます。
マッチング拠出で積み立てた資産は、老後の資産形成を目的とした制度であるため、原則として60歳になるまで引き出すことはできません。
これは、途中で解約して現金化することができないことを意味します。
例えば、マイホームの購入資金や子どもの教育費、急な病気や怪我による出費など、ライフイベントでまとまった資金が必要になった場合でも、この口座から引き出すことは不可能です。
そのため、マッチング拠出を始める際には、当面使う予定のない余裕資金で行うことが大前提となります。
生活に必要不可欠な資金まで拠出に回してしまうと、いざという時に困る可能性があります。
マッチング拠出で従業員が拠出できる掛金の金額には、法律で定められた上限があります。
この上限額は、勤務先が他の企業年金(確定給付企業年金など)を導入しているかどうかで異なります。
他の企業年金がない場合は、会社の掛金と従業員の掛金の合計で月額5.5万円が上限です。
一方で、他の企業年金がある場合は、合計で月額2.75万円が上限となります。
いくらまで拠出できるかは、会社の制度によって決まります。
自分がいくらまで拠出できるのか、具体的な上限金額については、勤務先の担当部署に事前に確認する必要があります。
マッチング拠出には、現行の法定拠出限度額に加え、もう一つ重要な掛金の上限ルールがあります。それは、「従業員の掛金額が、会社の掛金額を超えてはならない」というものです。例えば、会社が毎月1万円を拠出している場合、従業員が上乗せできる金額も最大で1万円までとなります。
たとえ法定拠出限度額に余裕があったとしても、会社の掛金額が現行の上限となるため、それ以上に拠出することはできません。このルールにより、会社の拠出額が少ない場合は、従業員が拠出できる額も自ずと少なくなります。積極的に多くの金額を積み立てたいと考えている人にとっては、この点が物足りなく感じる可能性があります。
しかし、この制度は2026年4月から完全に廃止されます。例えば会社が毎月1万円しか出していなくても、規約の範囲内であれば従業員は拠出限度額(月額最大6.2万円)まで自由に上乗せすることが可能です。
企業型DCとふるさと納税の併用|限度額計算とシミュレーターの使い方企業型DCの加入者が老後資金を準備する方法として、マッチング拠出の他にiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)という選択肢もあります。
この二つの制度は、税制優遇など共通点も多いですが、手数料や拠出限度額、運用商品のラインナップなどに違いがあります。
どちらが自分にとって有利なのかは、個々の状況によって異なります。
ここでは、マッチング拠出と個人型であるiDeCoの主な違いを比較し、どちらを選ぶべきかの判断材料を提供します。
以前は、企業型DC加入者のiDeCoへの加入には、勤務先の企業型DC規約でiDeCoへの加入が認められている必要がありましたが。
しかし2022年10月の法改正により、この要件が緩和され、2024年12月の法改正により、マッチング拠出とiDeCoの併用が可能となりました。
手数料の負担は、マッチング拠出とiDeCoを比較する上で大きなポイントです。
iDeCoに加入する場合、金融機関に支払う口座管理手数料などをすべて個人で負担する必要があります。
一方、マッチング拠出は勤務先の企業型DCの制度の一部であるため、口座管理にかかる手数料は会社が負担してくれます。
従業員は手数料を負担することなく、拠出した掛金の全額を運用に回すことができます。
長期的な資産形成において、手数料というコストは運用成果に直接影響を与えるため、この差は無視できません。
コストを抑えて効率的に運用したいと考えるなら、マッチング拠出の方が有利な場合が多いと言えます。
拠出できる掛金の上限額については、iDeCoの方が高くなるケースがあります。
マッチング拠出では、従業員の掛金は「会社の掛金額以下」かつ「会社の掛金と合わせて法定の上限(月額6.2万円または3.1万円)以下」という二つの制約があります。
特に会社の掛金額が少ない場合、従業員が拠出できる額も少なくなります。
一方、iDeCoの場合は、会社の掛金額に関わらず、企業型DCの掛金とiDeCoの掛金の合計が一定の上限額(企業型DCのみ加入の場合は月額2万円など)に収まればよいため、より多くの金額を拠出できる可能性があります。
より積極的に積立を行いたい場合は、iDeCoの方が適していることがあります。
運用商品の選択肢の広さも、両者の違いの一つです。
マッチング拠出の場合、運用商品は勤務先が契約している金融機関が提示するラインナップの中からしか選べません。
企業によっては、選択肢が限られていることもあります。
一方、iDeCoは自分で加入する金融機関を選べるため、数多くの金融機関が提供する豊富な商品ラインナップの中から、自分の投資方針に合ったものを選べます。
投資先の選択肢にこだわりたい、より多様な商品の中から選びたいというニーズがある場合は、iDeCoの方が自由度が高いと言えるでしょう。
これまでの比較を踏まえると、マッチング拠出は、とにかく手数料を抑えたい人や、手続きの手間を少なくしたい人におすすめです。
会社の制度に乗る形なので、手軽に始められるのが魅力です。
また、会社の掛金がある程度多く、拠出したい金額がその範囲内に収まる人にも適しています。
一方でiDeCoは、会社の掛金が少ないためマッチング拠出では物足りない人や、より多くの金額を拠出したい人におすすめです。
また、自分で金融機関や運用商品を選び、主体的に資産運用を行いたいと考える人にも向いています。
自身の勤務先の制度や投資に対する考え方を基に、最適な選択をすることが重要です。
マッチング拠出を始める手続きは、基本的に勤務先を通じて行われるため、個人で金融機関を探すiDeCoに比べてシンプルです。
会社の担当部署の案内に従えば、比較的スムーズに手続きを進めることができます。
ここでは、実際にマッチング拠出を始めるための具体的な流れを4つのステップに分けて解説します。
最初に、自身の勤務先でマッチング拠出制度が導入されているかを確認する必要があります。
企業型確定拠出年金(企業型DC)を導入しているすべての会社で、マッチング拠出が利用できるわけではありません。
制度の有無は、会社の就業規則や企業年金規約に定められています。
まずは、人事部や総務部といった企業年金の担当部署に問い合わせて、制度の導入状況を確認しましょう。
担当部署に聞けば、制度の概要や申し込みの可否について教えてもらえます。
もし制度が導入されていなければ、マッチング拠出を利用することはできないため、その場合はiDeCoへの加入を検討することになります。
勤務先でマッチング拠出制度が導入されていることが確認できたら、次に申し込みに必要な書類を入手します。
通常、これらの書類は企業年金の担当部署(人事部や総務部など)で配布されています。
担当者にマッチング拠出を始めたい旨を伝えれば、申込書や関連資料一式を受け取ることができます。
企業によっては、社内ポータルサイトなどから電子的にダウンロードできる場合もあります。
書類には、制度の詳細な説明や注意点が記載されていることが多いため、内容をよく読んで理解した上で手続きを進めることが大切です。
不明な点があれば、この段階で担当部署に質問しておくと良いでしょう。
申込書類を入手したら、毎月拠出する掛金の金額を決めます。
掛金額は、自身の家計状況やライフプランを考慮し、無理のない範囲で設定することが重要です。
この際、「会社の掛金額を超えない」かつ「会社の掛金と合算して法定の拠出限度額を超えない」というルールを守る必要があります。
しかしこのルールは2026年4月から完全撤廃されるため、会社の掛け金がいくらであっても、拠出限度額の範囲内であれば上限まで自由に上乗せが可能です。
金額が決まったら、申込書に必要事項を記入し、署名・捺印の上で担当部署に提出します。もしくはスマホやPCでの電子申請を行います。
多くの企業では、申し込みの締切日が設けられているため、期限内に提出するように注意してください。
申込書類を提出し、社内手続きが完了すると、マッチング拠出による積立が開始されます。
掛金は毎月の給与から自動的に天引きされるため、自分で銀行振込などを行う手間は一切かかりません。
一度手続きを済ませれば、後は自動で老後資金の積立が進んでいく手軽さが魅力です。
給与明細には、拠出した掛金額が控除項目として記載されるようになります。
積立が始まったら、定期的に運用状況を確認し、必要に応じて運用商品の配分を見直すことも大切です。
運用状況は、運営管理機関のウェブサイトなどで確認できます。
ここでは、企業型確定拠出年金のマッチング拠出に関して、多くの人が疑問に思う点やよく寄せられる質問について、Q&A形式で解説します。
掛金額の変更や制度の中断、転職・退職時の資産の取り扱いなど、具体的なケースを想定した回答をまとめました。
制度を始める前や利用中の不安を解消するための参考にしてください。
はい、掛金の額は後から変更できます。
多くの企業では年に1回など、変更可能な時期や回数にルールを設けています。
家計の状況に合わせて掛金額の見直しが可能です。
具体的な変更手続きやタイミングについては、勤務先の担当部署にご確認ください。
はい、掛金の拠出を途中でやめる(中断する)ことは可能です。
家計が苦しくなった場合など、拠出を停止できます。
ただし、それまでに積み立てた資産は原則60歳まで引き出せません。
再開手続きについても勤務先のルールをご確認ください。
積み立てた資産は、転職先の企業型DCやiDeCoに移換できます。
退職後も個人の資産として非課税で運用を継続することが可能です。
ただし、所定の期間内に移換手続きを行わないと国民年金基金連合会に自動移換されるため注意が必要です。
企業型確定拠出年金のマッチング拠出は、会社の制度を活用して従業員が掛金を上乗せできる仕組みです。
掛金の全額所得控除、運用益の非課税、受取時の税制優遇といった強力な節税メリットがあり、効率的な老後資産形成に役立ちます。
一方で、原則60歳まで資金を引き出せない流動性の低さや、掛金の上限が会社の拠出額に左右されるといった制約も存在します。
iDeCoとの比較では、手数料の面で有利な一方、拠出限度額や商品の選択肢では劣る場合があります。
これらの特徴を総合的に理解し、自身の収入状況、ライフプラン、そして勤務先の制度内容を踏まえた上で、利用するかどうかを判断することが求められます。
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自分で上乗せした掛金の全額が「所得控除」の対象となり、毎月の所得税と住民税を直接軽減できることです。
現在は「会社の額(5,000円)まで」ですが、2026年4月からはこの制限が撤廃され、規約の上限まで自由に上乗せ可能になります。
手数料を重視するなら会社負担のマッチング拠出、選べる商品の豊富さや拠出額の多さを重視するならiDeCoが有利です。
はい、2024年12月の法改正により、マッチング拠出を利用しながらiDeCoにも加入して併用することが可能になりました。
会社の拠出分と合算され、転職先の企業型DCやiDeCoの口座へ持ち運んで(移換して)運用を続けることができます。