投稿日:2026年05月14日
更新日:2026年05月14日
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育休中や病気による休職期間中、給与の支払いが止まる際に「企業型DC(企業型確定拠出年金・401k)の掛金はどうなるのか」と不安に思う方は少なくありません。
企業型DCの掛金は、原則として会社の規約に基づいて停止できますが、休業の種類によって扱いが異なります。
この記事では、DCの掛金拠出の停止や再開に関するルール、休職期間中の資産運用、将来への影響、そして具体的な手続きの流れについて解説します。
目次
育児休業や介護休業、私傷病などを理由に休職し、会社から給与が支払われない期間は、基本的に企業型確定拠出年金の掛金の拠出を停止することができます。
これは、掛金が給与を原資としているためです。
ただし、この取り扱いは法律で一律に定められているわけではなく、勤務先の年金規約に定められている場合に限られます。
そのため、休業の種類によっては掛金の拠出が継続されるケースもあり、自身の会社のルールを事前に確認することが不可欠です。
育児・介護休業法に基づく休業や、業務外の病気や怪我による私傷病休職で、給与の支払いが全額停止される場合、多くの企業では規約により掛金の拠出を停止することが認められています。
この手続きは、休職者本人が会社に申し出ることで行われます。
注意点として、掛金を拠出しなかった期間は、60歳から年金を受け取るために必要な「通算加入者等期間」に算入されない可能性があります。
この期間が算入されない場合、退職金の税制優優遇(退職所得控除)の計算にも影響が及ぶことがあるため、規約内容の確認が重要です。
産前産後休業(産休)の期間中は、育児休業とは異なり、原則として企業型確定拠出年金の掛金拠出は停止できません。
これは、産休が労働基準法に基づき労働義務が免除される期間であり、社会保険上の被保険者資格は継続しているとみなされるためです。
固定費の支払いは免除されますが、企業型DCの掛金は通常通り、会社負担分と本人負担分の双方が拠出され続けます。
休業中に給与が支払われない場合でも、掛金の支払いは継続となるのが一般的です。
この点はiDeCoの掛金拠出とはルールが異なるため、混同しないよう注意が必要です。
休職中における企業型DCの取り扱いは、最終的には各企業が定める年金規約に準拠します。
掛金の拠出を停止できる条件、対象となる休業の種類(育児、介護、私傷病など)、手続きの方法や期間の考え方といった具体的なルールは、会社ごとに異なります。
例えば、一部の企業では休職中も会社が掛金を負担し続けるケースや、特定の条件下でのみ停止を認めるケースも考えられます。
したがって、休職を予定している場合は、まず自社の人事部や総務部の担当者に連絡し、年金規約の内容を正確に確認することが不可欠です。
企業型確定拠出年金の経費は全額損金に?節税効果と仕訳方法を解説休職によって掛金の拠出が一時的にストップしても、それまでに積み立ててきた年金資産がなくなるわけではありません。
年金資産は個人の勘定で管理されており、自身が選択した投資信託などの金融商品で引き続き運用が続けられます。
市場の状況に応じて資産価値は日々変動するため、掛金の拠出がない間も資産が増減する可能性があります。
運用状況は、運営管理機関のウェブサイトなどで定期的に確認することが可能です。
掛金の拠出を停止している休職期間中であっても、年金資産の運用に関する指示は休職前と変わらず行えます。
具体的には、現在保有している運用商品を売却して別の商品に買い換える「スイッチング(預け替え)」がいつでも可能です。
経済情勢の変化や自身のリスク許容度の変化に応じて、資産配分を見直すことができます。
また、将来の掛金拠出再開に備えて、どの商品にどれくらいの割合で投資するかの設定を変更する「配分変更」の手続きも行えます。
休職中だからといって資産運用が制限されることはありません。
企業型確定拠出年金の掛金拠出が停止している期間も、口座を維持するための管理手数料は継続的に発生します。
この手数料は、国民年金基金連合会や運営管理機関、事務委託先金融機関などに支払われるもので、毎月、自身の年金資産から自動的に差し引かれます。
掛金の拠出がないため、運用成果が手数料を下回る場合、資産残高が少しずつ減少していくことになります。
手数料の金額は加入している制度によって異なるため、事前に自身のプランの手数料額を把握しておくことが大切です。
休職により企業型DCの掛金拠出を停止することは、将来の資産形成にいくつかの影響を及ぼす可能性があります。
最も直接的な影響は、掛金が拠出されない分、最終的に受け取る年金資産額が減少することです。
それに加えて、年金の受給資格を得るために必要な「加入者期間」のカウント方法にも影響が出ることがあり、受給開始年齢が遅れる可能性も考慮しなくてはなりません。
これらの影響を理解し、自身のライフプランを検討することが重要です。
企業型DCを原則である60歳から受け取るためには、通算加入者等期間が10年以上必要です。
休職により掛金の拠出を停止した期間は、その期間は通常「運用指図者期間」として通算加入者等期間に算入されるため、受給開始年齢への影響はほとんどありませんでした。
ただし、この通算加入者等期間に算入されない場合があります。期間への算入ルールは会社の規約によって定められているため、事前の確認が不可欠です。
もし休職期間が算入されない規約で、かつ通算期間が10年に満たない場合、受給開始年齢が61歳から65歳の間で段階的に繰り下げられる可能性があります。
特に、企業型DCへの加入期間が短い方は、この点に注意が必要です。
休職による掛金の停止は、その期間の積立額がゼロになるため、将来の受給額が減少する要因となります。
どの程度の影響があるかは、休職期間の長さ、本来拠出されるはずだった掛金の額、反映今後の運用利回りによって変動します。
多くの運営管理機関が提供する加入者専用ウェブサイトには、将来の受給額を試算できるシミュレーション機能が備わっています。
休職期間や掛金の停止を条件に設定してシミュレーションを行うことで、資産額への具体的な影響を把握し、復職後の掛金設定や運用方針を見直す際の参考にできます。
企業型確定拠出年金の経費は全額損金に?節税効果と仕訳方法を解説休職に伴って企業型DCの掛金を停止し、復職後に再開するためには、所定の手続きを会社を通して行う必要があります。
手続きには期限が設けられている場合もあり、申し出が遅れると意図しない掛金の引き落としや、再開の遅れにつながる可能性があります。
休職前から復職後までの一般的な手続きの流れを把握し、計画的に準備を進めることが大切です。
具体的な書類や期日は、必ず会社の担当部署に確認してください。
休職することが決定したら、速やかに勤務先の人事部や総務部など、企業型DCの担当部署へ連絡し、掛金の拠出を停止したい旨を申し出ます。
通常、「加入者資格喪失届」といった所定の書類を提出する必要があります。
会社が手続きを行うには一定の時間がかかるため、休職開始日が決まったらできるだけ早く手続きを進めることが重要です。
申し出が遅れると、給与の支払いがないにもかかわらず、掛金が口座から引き落とされてしまうケースも考えられます。
事前に手続きの流れや提出期限を確認しておきましょう。
復職日が確定したら、掛金の拠出を再開するための手続きを会社を通して行います。
休職時と同様に、人事部や総務部の担当部署へ連絡し、「加入者資格取得届」などの必要書類を提出します。
この再開手続きを忘れてしまうと、復職して給与の支払いが始っても掛金の拠出が行われず、その期間の資産形成の機会を失うことになります。
復職の準備と合わせて、忘れずに手続きを進めましょう。
手続きの締切日によっては、復職した月の翌月から掛金拠出が再開される場合もあるため、具体的なスケジュールを担当部署に確認してください。
休職中の企業型確定拠出年金に関しては、掛金の停止や運用以外にも細かい疑問点が出てくることがあります。例えば、掛金停止のデメリットは何か、といった点です。
ここでは、特に多く寄せられる質問とその回答をまとめました。ただし、最終的な取り扱いは会社の規約によりますので、あくまで一般的な回答として参考にしてください。
会社の規約で企業型DCとiDeCo(個人型確定拠出年金)の併用が認められており、かつ休職によって企業型DCの加入資格を喪失している期間であれば、iDeCoに加入して積み立てることが可能です。
加入を希望する場合は、ご自身で金融機関を選び、申し込み手続きを行う必要があります。
最大のデメリットは、拠出停止期間中の積立が行われないため、将来の年金資産額が減少することです。
また、その期間が加入者期間に通算されず、年金の受給開始年齢が遅れる可能性があります。
さらに、口座管理手数料は継続して発生するため、運用益がない場合は資産が少しずつ目減りします。
会社の年金規約は、勤務先の人事部や総務部といった担当部署に問い合わせることで確認できます。
入社時や制度開始時に配布された資料や、加入している運営管理機関の加入者向けウェブサイトに掲載されている場合もあります。
不明な場合は、まず会社の担当部署へ確認するのが最も確実です。
育児休業や私傷病による休職で給与が支払われない場合、多くの企業型確定拠出年金では、規約に基づいて掛金の拠出を停止できます。
ただし産前産後休業中は原則として拠出が継続されるなど、休業の種類によって扱いが異なります。
掛金を停止している期間も、それまでの積立資産の運用は継続され、スイッチングも可能ですが、口座管理手数料は発生し続けます。
将来の受給額や受給要件に影響が出る可能性があるため、休職前には必ず自社の年金規約を確認し、担当部署を通して適切な停止・再開の手続きを行うことが重要です。
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運用はそのまま継続されます。掛金は入らなくても、元々ある資産で投資信託などの運用は続くため、市場の動きに応じて増減します。
産休は労働基準法で守られた期間であり、社会保険と同様に「資格継続」とみなされるため原則継続となります。一方、育休は給与がないことを理由に規約で停止できる場合が多いからです。
多くの場合は「運用指図者」として期間加算されますが、規約により加算されない場合、受給開始が61歳以降にずれ込む可能性があります。
自動では再開されないケースが多いです。復職後に改めて「再開の手続き(資格取得届など)」を会社へ提出しないと、積み立ての機会を逃してしまいます。
不要です。商品の入れ替え(スイッチング)は、休職前と同様にWebサイトなどから自分自身でいつでも行えます。