投稿日:2026年03月30日
更新日:2026年06月09日
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企業型確定拠出年金とiDeCoの併用は、老後資金を効率的に準備するための有力な選択肢です。
2022年の法改正により、多くの会社員が併用可能になりましたが、利用には一定の条件があります。
この記事では、企業型確定拠出年金とiDeCoの併用を検討している方に向けて、加入条件や掛金の上限額、そして会社の制度であるマッチング拠出との違いを詳しく解説します。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身の状況に最適な選択をするための判断材料を提供します。
目次
2022年10月の法改正により、これまで一部の企業でしか認められていなかった企業型確定拠出年金(企業型DC)とiDeCo(個人型確定拠出年金)の併用が、原則として誰でも可能になりました。
以前は、勤務先の企業型DC規約でiDeCoへの加入が認められている場合に限り併用できましたが、この規約の要件が撤廃された形です。
この変更によって、より多くの会社員が、会社の制度に加えて自分自身の意思でiDeCoを活用し、老後資金形成を加速させられるようになりました。
ただし、「原則」併用可能となったものの、無条件で誰でも始められるわけではなく、いくつかの条件を満たす必要があります。
企業型DCとiDeCoの併用は、2022年10月から原則可能になりましたが、実際に利用するためにはいくつかの条件をクリアする必要があります。
具体的には、勤務先の規約、マッチング拠出の利用状況、そして法令で定められた掛金の上限額という3つのポイントを確認しなくてはなりません。
これらの条件を事前に把握しておくことで、スムーズに手続きを進めることができます。
次の項目から、それぞれの条件について詳しく見ていきましょう。
2022年10月の法改正で、iDeCoに加入するために企業型DCの規約で「iDeCoへの加入を認める」旨を定めている必要はなくなりました。
しかし、例外として、企業型DCの事業主掛金と加入者掛金(マッチング拠出)が、それぞれ拠出限度額の範囲内で各月拠出することを規約に定めている場合、iDeCoとの併用はできません。これを「各月拠出の規約」と呼びます。多くの場合、併用は可能ですが、ごく一部の企業では規約によって併用できないケースが残っています。まずは勤務先の人事や総務などの担当部署に、自社の企業型DC規約がiDeCoとの併用に制限を設けていないかを確認することが最初のステップとなります。
2022年10月の制度改正により、企業型DCでマッチング拠出制度を利用している場合でも、iDeCoを併用することが可能になりました。ただし、マッチング拠出とiDeCoは掛金拠出限度額の管理が異なるため、両方の制度で同時に掛金を拠出することはできません。
したがって、iDeCoへの加入を希望する場合は、現在利用しているマッチング拠出を停止し、iDeCoに加入する手続きを勤務先で行う必要があります。どちらの制度が自分にとって有利かを、手数料や商品の選択肢、掛金の自由度などの観点から比較検討した上で決定することが重要です。
企業型DCとiDeCoを併用する場合、それぞれの掛金は無制限に拠出できません。
法令によって定められた上限額の範囲内に収める必要があります。
具体的には、企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金の合計額が、月額の拠出限度額を超えないように管理しなければなりません。
この上限額は、勤務先で加入している他の企業年金制度(確定給付企業年金など)の有無によって変動します。
上限を超えて拠出してしまうと、超過分は還付され、手数料が無駄になる可能性もあるため、自身の限度額を正確に把握しておくことが不可欠です。
企業型DCとiDeCoを併用する際、iDeCoに拠出できる金額の上限は一律ではありません。
勤務先の企業年金の加入状況によって、上限額が大きく異なります。
具体的には、「企業型DCのみに加入している場合」と「企業型DCに加えて確定給付企業年金(DB)などにも加入している場合」の2つのパターンに大別されます。
ご自身の状況がどちらに当てはまるかを確認し、いくらまで拠出できるのかを把握することが重要です。
シミュレーションも活用しながら、具体的な上限額を見ていきましょう。
勤務先の企業年金が企業型DCのみの場合、iDeCoに拠出できる掛金の上限額は月額2万円です。
ただし、企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金の合計が月額5.5万円を超えることはできません。
したがって、iDeCoの上限額は以下の2つの計算式のうち、いずれか低い方の金額が適用されます。
1.月額2万円
2.月額5.5万円-企業型DCの事業主掛金額
例えば、企業型DCの事業主掛金が月額4万円の場合、計算式2に基づきiDeCoの上限は1.5万円(5.5万円-4万円)となります。
事業主掛金が3.5万円以下の場合は、上限である2万円まで拠出可能です。
企業型DCに加えて、確定給付企業年金(DB)や厚生年金基金といった他の企業年金制度にも加入している場合、iDeCoに拠出できる上限額はさらに低くなります。
この場合の上限額は月額1.2万円です。
また、企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金の合計が月額2.75万円を超えることはできません。
iDeCoの上限額は、以下のうちいずれか低い方の金額となります。
1.月額1.2万円
2.月額2.75万円-企業型DCの事業主掛金額
例えば、両方の制度に加入しており、企業型DCの事業主掛金が月額2万円の場合、iDeCoの上限額は7,500円(2.75万円-2万円)となります。
2024年12月1日から、確定拠出年金の拠出限度額に関するルールが変更されます。
この法改正により、これまで複雑だった掛金の上限額の計算方法が簡素化されます。
具体的には、企業型DCの事業主掛金額や確定給付型(DB等)の掛金相当額、そしてiDeCoの掛金の合計額を、全体の拠出限度額(月額5.5万円)から差し引く形でiDeCoの上限額が決定されるようになります。
この変更によって、DB等に加入している人のiDeCo拠出額は実質的に引き下げられる可能性がありますが、制度間の公平性を図るための見直しとされています。
自身の掛金がどのように変わるか、事前に確認しておくことが望ましいです。
企業型DCに加入している人が任意で掛金を上乗せしたい場合、「マッチング拠出」を利用するか、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」を併用するかを選択肢として検討できます。2022年10月の法改正により、企業型DCとiDeCoは一定の条件を満たせば原則として併用可能になりました。ただし、企業型DCでマッチング拠出を利用している場合はiDeCoと併用できないため、どちらか一方を選択する必要があります。どちらの制度が自身にとって有利かは、手数料、運用商品の自由度、手続きの手軽さといった複数の観点から総合的に判断する必要があります。
それぞれの特徴を正しく理解し、ご自身の投資方針やライフプランに合った制度を選びましょう。
手数料は長期的な資産形成において重要な比較ポイントです。
マッチング拠出の場合、既存の企業型DCの枠組みを利用するため新たに追加の手数料が発生することは基本的にありません。
企業型DCの口座管理手数料は多くの場合会社が負担してくれます。
一方iDeCoに加入すると国民年金基金連合会や運営管理機関(金融機関)に支払う口座管理手数料が毎月発生しこれは全額自己負担となります。
この手数料負担はiDeCoを選択する際の明確なデメリットと言えるでしょう。
ただし金融機関によっては手数料が無料のところもあるためiDeCoを始める際は金融機関選びが重要になります。
運用商品の選択肢の広さは、iDeCoを選択する大きなメリットです。
マッチング拠出で選べる金融商品は、勤務先が契約している運営管理機関が提供するラインナップに限られます。
そのため、自分が投資したい商品が含まれていない可能性もあります。
それに対してiDeCoは、数ある金融機関の中から自分で好きなところを選んで口座を開設できます。
金融機関ごとに取り扱う商品は異なるため、投資信託の本数や種類、手数料の低いインデックスファンドの有無などを比較し、自分の投資方針に合った商品を取り揃えている機関を自由に選択できるのが強みです。
手続きの手軽さでは、マッチング拠出に分があります。
マッチング拠出の掛金は給与から天引きされるため、一度手続きをすればその後は自動的に積み立てられます。
また、掛金は所得控除の対象となりますが、年末調整は会社が自動的に行ってくれるため、個人での申告は不要です。
一方、iDeCoの掛金を給与天引きにできない場合、自分で金融機関の口座から引き落とし設定をする必要があります。
さらに、所得控除を受けるためには、毎年送られてくる証明書を使って自分で年末調整の書類を記入し、会社に提出しなければなりません。
NISAなど他の制度と異なり、この手間を毎年かける必要があります。
これまでの比較を踏まえると、マッチング拠出の利用が向いているのは、手続きの手間をできるだけ省きたい人や、コストを最小限に抑えたい人です。
給与天引きで自動的に積立が行われ、年末調整も会社が対応してくれるため、個人で行う手続きはほとんどありません。
また、iDeCoで発生する口座管理手数料がかからない点も大きな魅力です。
勤務先が提供する企業型DCの運用商品ラインナップに不満がなく、その中から選びたいという人であれば、手軽で低コストなマッチング拠出が適している選択肢となります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)との併用が向いているのは、運用先の選択肢にこだわりたい人や、掛金を柔軟に設定したい人です。
iDeCoの最大の魅力は、自分で金融機関を選び、豊富な商品ラインナップの中から自由に投資先を決定できる点にあります。
会社の指定する商品に満足できない場合や、より積極的にリターンを狙いたい場合には最適です。
また、マッチング拠出では掛金額が事業主掛金額を超えられないという制約がありますが、iDeCoであれば上限額の範囲内でより多くの金額を拠出できる可能性があります。
主体的に資産運用に取り組みたい人にはiDeCoがおすすめです。
企業型DCとiDeCoを併用することには、単に会社の制度を利用するだけでは得られない大きなメリットがあります。
最大の利点は、非課税で投資できる枠が増えることで、老後の資産形成をより強力に推進できる点です。
また、iDeCoの掛金も全額が所得控除の対象となるため、高い節税効果が期待できます。
さらに、投資先の選択肢が広がることで、より戦略的な資産配分も可能になります。
ここでは、これら3つのメリットについて詳しく解説します。
企業型DCとiDeCoを併用する最大のメリットは、老後資金の積立額を増やせることです。
会社の企業型DC制度に加えて、iDeCoというもう一つの私的年金の柱を持つことで、毎月の拠出額を単純に上乗せできます。
拠出額が増えれば、その分だけ将来受け取れる資産も大きくなります。
さらに、確定拠出年金は運用益が非課税になるため、長期間運用することで複利効果を最大限に享受できます。
会社の制度だけでは物足りないと感じる場合、iDeCoを併用することで、より早期に、より多くの老後資金を準備することが可能になります。
iDeCoの掛金は、その全額が所得控除の対象となります。
これは、毎年の所得税や翌年の住民税を計算する際に、課税対象となる所得からiDeCoで拠出した年間の合計額を差し引けることを意味します。
iDeCoの掛金は所得控除の対象となるため、節税効果が期待できます。
例えば、毎月2万円(年間24万円)をiDeCoで拠出し、所得税率が20%、住民税率が10%の場合、単純計算で年間7.2万円(24万円×30%)もの税負担が軽減されます。
これは長期的に見ると非常に大きなメリットです。
投資先の選択肢が大幅に広がる点も、iDeCoを併用する大きなメリットです。
企業型DCで選べる運用商品は、勤務先が契約している金融機関が提供するものに限られます。
一方、iDeCoは自分で金融機関を選べるため、国内外の株式や債券、REIT(不動産投資信託)など、数百種類の商品を取り扱う金融機関を選択することも可能です。
企業型DCの商品ラインナップを補う形で、iDeCoでは異なる資産クラスや地域に投資する商品を選ぶことで、より効果的な分散投資が実現できます。
これにより、資産全体のリスクを低減させながら、安定的なリターンを目指しやすくなります。
企業型DCとiDeCoの併用は、老後資産形成を加速させる上で多くのメリットがありますが、注意すべきデメリットも存在します。
特に、掛金の上限額を自分で管理しなければならない手間や、iDeCoの口座管理手数料が別途発生するコスト面は、事前に理解しておくべき重要なポイントです。
これらのデメリットを把握し、自身の状況と照らし合わせて併用を検討することが大切です。
ここでは、併用する際の2つの主なデメリットについて解説します。
企業型DCとiDeCoを併用する場合、掛金の上限額管理が自己責任となります。
企業型DCの事業主掛金と、自身がiDeCoで拠出する掛金の合計額が、法令で定められた上限を超えないように注意しなければなりません。
特に、企業型DCの事業主掛金は給与額などに応じて変動することがあり、その変動を把握しておかないと、気づかないうちにiDeCoの掛金が上限を超えてしまう可能性があります。
上限を超えた掛金は後日還付されますが、その際の手数料は自己負担となるため、定期的に掛金額を確認する手間が発生します。
iDeCoに加入すると、新たに口座管理手数料が発生します。企業型DCの場合、これらの手数料は会社が負担するケースが多いですが、規約によって異なる場合があります。iDeCoの手数料は原則として全額自己負担です。
手数料の内訳は、加入・移管時の初期費用に加え、国民年金基金連合会や信託銀行に支払う固定費、そして運営管理機関(金融機関)に支払う手数料から構成されます。運営管理機関の手数料は金融機関によって異なり、中には無料のところもあります。運営管理手数料が無料の場合、固定でかかる費用は年間2,052円(月額171円)に加え、加入時手数料2,829円(税込)が発生します。これらのコストが運用リターンをわずかに押し下げる要因となることを理解しておく必要があります。
企業型DCに加入している方がiDeCoとの併用を始めるには、いくつかの手続きを踏む必要があります。
まずはご自身の勤務先で加入の可否を確認することから始まり、次にiDeCoの口座を開設する金融機関を選び、年末調整で「小規模企業共済等掛金控除」を申告するという流れが一般的です。
ここでは、併用を開始するための具体的な手続きを3つのステップに分けて、分かりやすく解説していきます。
この手順に沿って進めることで、スムーズにiDeCoを始めることができるでしょう。
iDeCoの併用を始める最初のステップは、勤務先の人事や総務など、企業年金制度を担当する部署への確認です。
まずは、自社の企業型DC規約がiDeCoとの併用を妨げるものでないかを確認します。
併せて、企業型DCの事業主掛金の金額を教えてもらいましょう。
この金額が分からないと、iDeCoで拠出できる上限額を計算できません。
また、後述する「事業主の証明書」の記入をどの部署に依頼すればよいのかも、この時点で聞いておくと後の手続きがスムーズに進みます。
不明点をクリアにし、必要な情報を集めることが重要です。
勤務先でiDeCoへの加入が可能であることを確認できたら、次にiDeCoの口座を開設する金融機関を選びます。
証券会社や銀行、信用金庫など多くの金融機関がiDeCoを取り扱っていますが、それぞれ口座管理手数料や運用商品のラインナップが大きく異なります。
長期的な資産形成のパートナーとなるため、手数料が安く、自分が投資したいと思える商品が揃っているかを基準に慎重に比較検討しましょう。
金融機関を決めたら、その金融機関のウェブサイトなどからiDeCoの加入申し込み手続きを開始します。
運用開始後、毎年10月~11月ごろに自宅へ届く「払込証明書(ハガキ)」を保管しておきます。
年末調整の際に、会社に提出する「保険料控除申告書」に「払込証明書」の金額を記入し、原本を添付し、会社へ提出します。
この手続きをすることで初めて節税のメリットを享受することができます。
企業型確定拠出年金 60代の配分は受取時期で決まる!2つの正解パターンを解説企業型確定拠出年金とiDeCoの併用は、2022年の法改正により多くの会社員にとって現実的な選択肢となり、老後資金形成を加速させる有効な手段です。
併用を始めるには、勤務先の規約やマッチング拠出の利用状況、そしてご自身の掛金上限額を確認する必要があります。
特に、マッチング拠出と比較して、手数料や運用商品の自由度、手続きの手軽さなど、どちらが自分のスタイルに合っているかを慎重に検討することが重要です。
掛金の拠出時だけでなく、将来の受け取り時に活用できる退職所得控除などの税制優遇も考慮に入れ、長期的な視点で最適な資産形成プランを立てましょう。
SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 確定拠出年金導入 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
運用コストを最優先するなら「マッチング拠出」、商品の選択肢や掛金額の多さを優先するなら「iDeCo」がお得です。
在職中は一本化できません。企業型DCとiDeCoは別々の口座で並行して運用し、退職・転職時に初めて資産を移換してまとめることが検討可能になります。
理論上は可能ですが、会社の書類手続きやiDeCoの口座開設・停止に数ヶ月かかるため、頻繁な切り替えは現実的ではありません。
選択肢の限られる企業型DCで「元本確保型(定期預金等)」、商品の選べるiDeCoで「積極運用(投資信託)」といった役割分担が有効です。
60歳まで資金を固定したくないなら「NISA」、所得税・住民税を今すぐ減らしたいなら「iDeCo」を優先するのが定石です。