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企業型確定拠出年金からiDeCoへの移管メリット・デメリットを比較!退職後の手続きも解説

投稿日:2026年03月30日

更新日:2026年06月09日

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目次

企業型確定拠出年金からiDeCoへの移管メリット・デメリットを比較!退職後の手続きも解説

退職や転職に際して、これまで勤めていた会社の企業型確定拠出年金(企業型DC)の資産をどう扱うべきか、迷う方は少なくありません。
選択肢の一つであるiDeCo(個人型確定拠出年金)への移管には、メリットとデメリットの両方が存在します。

本記事では、iDeCoへの移管を選択した場合の利点や注意点、具体的な手続きについて解説します。
また、状況によってはiDeCoから企業型確定拠出年金へ資産を移すケースも考えられるため、それぞれの特徴を理解することが重要です。

退職・転職後、企業型確定拠出年金(企業型DC)の資産はどうする?

退職や転職によって会社の企業型確定拠出年金(企業型DC)の加入者資格を喪失した場合、それまでに積み立てた年金資産は、自身で他の年金制度へ移管する手続きが必要です。
主な移管先として、転職先の企業型DCや個人のiDeCoが挙げられます。

これらの手続きを適切に行わないと、資産が自動的に移されてしまい不利益を被る可能性があるため、退職後は速やかに自身の資産をどの制度で管理・運用していくかを決定し、行動に移さなければなりません。

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手続きを忘れるとどうなる?自動移換で資産が目減りするリスクを解説

退職後、企業型DCの加入資格を喪失してから6ヶ月以内に移管手続きをしない場合、積み立てた資産は特定運営管理機関に「自動移換」されます。
自動移換されると資産は現金化され、運用が停止するため、将来的な資産増加の機会を失います。

さらに、自動移換中は管理手数料が継続的に差し引かれ続けるため、資産は着実に目減りしていきます。
このような事態を避けるためにも、資格喪失後は放置せず、必ず所定の期間内に手続きを完了させることが不可欠です。

退職・転職後の年金資産の移管先3つの選択肢

企業型DCの加入者資格を喪失した後、積み立てた年金資産を移す先には、主に3つの選択肢があります。
具体的には、個人のiDeCoへ移す、転職先の企業型DCへ移す、そして特定の条件を満たす場合に脱退一時金として受け取る方法です。

どの選択肢が最適かは、転職先の制度の有無や自身のライフプラン、資産運用の考え方によって異なります。
それぞれの特徴を理解し、自身の状況に最も適した方法を選ぶことが大切です。

1. 個人のiDeCo(個人型確定拠出年金)に資産を移す

退職・転職後の選択肢として、個人で加入するiDeCo(個人型確定拠出年金)に資産を移管する方法があります。
この方法の最大の特長は、金融機関や運用商品を自分で自由に選べる点です。
転職先に企業型DC制度がない場合や、自営業者になる方、またはより主体的に資産運用を行いたいと考える方にとって有力な選択肢となります。

また、iDeCoでは自身の判断で掛金を拠出でき、その全額が所得控除の対象となるため、税制上のメリットも受けられます。
ただし、口座管理手数料などは自己負担となる点には注意が必要です。

2. 転職先の企業型DCに資産を移す

転職先に企業型DC制度がある場合は、これまで積み立てた資産をそちらに移管することが可能です。
この選択肢の利点は、手続きが比較的スムーズであることや、引き続き会社の制度のもとで資産を管理・運用できる点にあります。
会社が掛金を拠出してくれるほか、制度によっては自身で掛金を上乗せするマッチング拠出を利用できる場合もあります。

ただし、運用商品のラインナップは転職先の会社が提携する金融機関が提供するものに限られるため、iDeCoと比較すると選択の自由度は低くなります。

3. 脱退一時金として受け取る(※受給には条件あり)

年金資産を現金で受け取る「脱退一時金」という選択肢もありますが、これを受給するには極めて厳しい要件を満たす必要があります。
具体的には、企業型DCの加入期間が5年以下であることや、個人別管理資産額が1万5千円以下であることなど、複数の条件をすべてクリアしなければなりません。

そのため、ほとんどの人はこれらの条件を満たすことができず、原則として脱退一時金を受け取ることはできないのが実情です。
老後の資産形成を目的とした制度であるため、安易に現金化することは想定されていません。

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企業型DCからiDeCoへ資産を移管する4つのメリット

企業型DCからiDeCoへ資産を移管することには多くのメリットがあります。
最大の魅力は自分で金融機関や運用商品を自由に選べるようになる点です。
また新たに掛金を拠出すれば所得控除が適用され大きな節税効果が期待できます。

さらに運営管理手数料を比較してコストの低い金融機関を選んだり加入資格があれば65歳まで積立を継続できたりとより主体的で長期的な視点に立った資産形成が可能になります。

メリット1:運用商品の選択肢が広がり自由に選べる

企業型DCの場合、運用商品は会社が契約している金融機関のラインナップの中からしか選べません。
しかし、iDeCoに移管することで、自分が選んだ金融機関が取り扱う多様な運用商品の中から、自身の投資方針に合わせて自由に選択できるようになります。

投資信託だけでも国内外の株式や債券、不動産(REIT)など、幅広い選択肢があり、元本確保型の定期預金や保険商品を組み合わせることも可能です。
これにより、よりパーソナライズされた資産運用が実現し、積極的にリターンを狙う、あるいは安定性を重視するなど、個々のリスク許容度に合わせたポートフォリオを組むことができます。

メリット2:掛金を拠出すれば所得控除で税金の負担を軽減できる

iDeCoに資産を移管した後、新たに掛金を拠出すると、その全額が「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除の対象になります。
これにより、課税所得が減るため、所得税と住民税の負担を軽減できます。

例えば、毎月2万円(年間24万円)を拠出した場合、その24万円が課税対象の所得から差し引かれます。
税率が20%(所得税10%、住民税10%)の人であれば、年間で4万8千円の税負担が軽減される計算です。
退職して拠出が止まっていた方や、企業型DCでマッチング拠出を利用していなかった方にとって、これは大きなメリットです。

メリット3:運営管理手数料を自分で比較して金融機関を選べる

企業型DCでは運営管理手数料を会社が負担してくれることが多いですが、iDeCoでは自己負担となります。
しかし、iDeCoは金融機関によって手数料が大きく異なるため、自分で比較してコストの低いところを選べるというメリットがあります。

特に、SBI証券や楽天証券などのネット証券を中心に、運営管理手数料が0円の金融機関も増えています。
長期にわたる資産運用において手数料の差は最終的な受取額に大きく影響するため、コストを意識して金融機関を選定できる点は、iDeCoの大きな利点です。

メリット4:加入資格があれば65歳まで掛金を拠出できる

企業型DCの加入資格は、基本的にその企業に在籍している期間に限られ、多くの場合60歳が上限となります。
一方、iDeCoは国民年金の被保険者であれば、原則として65歳になるまで掛金を拠出し続けることが可能です。

これにより、退職後も継続して積立を行い、老後資金をさらに手厚く準備することができます。
特に、60歳以降も働き続ける場合や、より長期間にわたって税制優遇を受けながら資産形成をしたいと考える方にとって、長期で拠出を続けられる点は大きな魅力となります。

iDeCoへの移管で注意したい3つのデメリット

iDeCoへの移管はメリットばかりではありません。
注意すべきデメリットも存在します。
まず、企業型DCでは会社負担だった各種手数料が自己負担になります。
また、運用商品の選定から管理まで、すべてを自分自身の責任で行う必要があり、投資に関する知識や手間が求められます。

さらに、企業型DCで利用できていた会社からの掛金上乗せ(マッチング拠出)は利用できなくなるため、これらの点を総合的に比較検討することが重要です。

デメリット1:口座開設や運営にかかる各種手数料が自己負担になる

iDeCoに加入すると、手数料がすべて自己負担になる点がデメリットです。
まず、加入時や移管時に国民年金基金連合会へ支払う手数料が発生します。
さらに、毎月の口座管理手数料として、国民年金基金連合会と事務委託先金融機関(信託銀行)への支払いが必ずかかります。

これに加えて、運営管理機関である金融機関独自の手数料が上乗せされる場合があります。
企業型DCではこれらの手数料の多くを会社が負担してくれていたため、iDeCoに移管すると、これまで発生しなかったコストが自身にかかってくることを認識しておく必要があります。

デメリット2:運用商品の選定から管理まですべて自分で行う必要がある

iDeCoは運用商品の選択肢が広いというメリットの裏返しとして、どの商品で運用するかをすべて自分で判断し、その結果に責任を負う必要があります。
金融機関の選定から始まり、数多くの投資信託や保険商品の中から自分の投資方針に合ったものを選び、適切な資産配分を決定しなければなりません。

また、市場の状況に応じて資産配分を見直す「リバランス」なども定期的に行うことが望まれます。
投資に関する知識をある程度身につけ、情報収集を続ける手間がかかる点は、デメリットと感じる人もいるでしょう。

デメリット3:会社からの掛金上乗せ(マッチング拠出)は利用できなくなる

勤務先の企業型DCで「マッチング拠出」を利用していた場合、iDeCoに移管するとこの制度は使えなくなります。
マッチング拠出とは、会社が拠出する掛金に加えて、加入者自身が掛金を上乗せできる制度です。
上乗せした掛金は全額所得控除の対象となるため、税制上のメリットがあります。

iDeCoでも同様に所得控除を受けられますが、会社からの拠出という基盤がなくなるため、マッチング拠出の条件が有利であった場合は、iDeCoへの移管によってトータルでのメリットが減少する可能性も考慮する必要があります。

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【5ステップ】企業型DCからiDeCoへの移管手続きの具体的な流れ

企業型DCからiDeCoへの資産の移換手続きは、いくつかのステップを踏む必要があります。
全体のやり方を把握しておけば、スムーズに進めることができます。
まず金融機関を選び、必要書類を提出することから始まります。

その後、国民年金基金連合会での審査を経て、資産が新しい口座に移されるという流れです。
手続きには通常1〜2ヶ月ほどかかるため、退職後は早めに準備を始めることが推奨されます。
ここでは、具体的な流れを5つのステップに分けて解説します。

Step1:iDeCoに加入する金融機関を選定する

iDeCoへの移管手続きの第一歩は、口座を開設する金融機関を選ぶことです。
金融機関によって運営管理手数料や取り扱っている運用商品のラインナップ、提供されるサポートサービスが大きく異なります。

長期的な資産形成においては、手数料の低さが重要になるため、SBI証券や楽天証券といった運営管理手数料が無料のネット証券が人気を集めています。
また、自分が運用したいと思う商品(例えば、低コストのインデックスファンドなど)が揃っているかどうかも、必ず確認すべき重要なポイントです。

Step2:選んだ金融機関に申込書類を請求し提出する

加入する金融機関を決めたら、その金融機関のウェブサイトやコールセンターを通じてiDeCoの申込書類を請求します。
書類が届いたら、必要事項を記入し、本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証のコピーなど)や基礎年金番号がわかる書類(年金手帳や基礎年金番号通知書のコピー)といった必要書類を添付して返送します。

書類には、企業型確定拠出年金からの移管であることを申告する欄がありますので、忘れずに正確に記入することが重要です。
不備があると手続きが遅れる原因となります。

Step3:以前の勤務先に「加入者資格喪失手続」を依頼する

iDeCoへの移管手続きには、以前の勤務先で企業型DCの加入者資格を喪失したことを証明する情報が必要です。
通常、退職手続きを進めると、会社を通じて運営管理機関から「加入者資格喪失手続完了通知書」といった書類が送付されます。
この書類には、移管手続きに必要な基礎年金番号や加入者口座番号などが記載されているため、大切に保管しておきましょう。

もし手元にない場合や紛失した場合は、退職した会社の担当部署や、加入していた企業型DCの運営管理機関に問い合わせて確認する必要があります。

Step4:国民年金基金連合会による加入資格の審査を待つ

申込書類を金融機関に提出すると、書類はiDeCoの実施機関である国民年金基金連合会に送付され、加入資格の審査が行われます。
この審査では、提出された書類に基づき、申込者がiDeCoに加入できる条件を満たしているかどうかが確認されます。
審査には通常1ヶ月から2ヶ月程度の期間を要します。

この間、申込者側で特別に行うことはありません。
審査結果が出るまで待つことになります。
書類に不備があった場合は、金融機関を通じて連絡が来ることがあるため、その際は速やかに対応しましょう。

Step5:移管完了の通知を受け取り運用を開始する

国民年金基金連合会の審査が完了すると、申込んだ金融機関から口座開設完了の通知と、資産の移管が完了したことを知らせる書類が郵送されます。
この通知書には、インターネットサービスにログインするためのIDやパスワードなどが記載されています。
ログイン後、まず初めに行うべきは、移管された資産をどの運用商品で、どのような配分で運用するかの「掛金の配分設定」です。

この設定を完了させないと、資産は現金(元本確保型商品)のままとなり運用が始まらないため、速やかに行いましょう。

要注意!移管手続きは退職後6ヶ月以内に行いましょう

企業型DCの移管手続きで最も注意すべき点は、その期限です。
企業型DCの加入資格を喪失した日の属する月の翌月から起算して、6ヶ月以内にiDeCoや他の制度への移管手続きを完了させる必要があります。

この期間を過ぎてしまうと、年金資産は国民年金基金連合会に自動移換されてしまいます。
自動移換の状態では、資産は現金化されて運用されず、管理手数料だけが引かれ続けるため、資産が目減りする一方です。
こうした事態を避けるため、退職後は速やかに手続きに取り掛かりましょう。

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まとめ:ご自身の運用方針や状況をふまえてiDeCoへの移管を検討しよう

企業型DCからiDeCoへの資産移管は、運用商品の選択肢が広がり、税制上の優遇措置を受けられるといったメリットがあります。
一方で、手数料が自己負担になることや、商品選定から運用管理まで自己責任で行う必要があるという側面も持ち合わせます。

退職や転職という節目において、転職先の年金制度の有無、ご自身の投資経験や運用に対する考え方、そして将来のライフプランなどを総合的に考慮し、自身の状況に最も適した選択をすることが求められます。

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このコラムの著者 : 宍戸沙綾

株式会社SMC総研:株式会社日本企業型確定拠出年金センター 企業型DC導入支援グループ
AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)/DCプランナー2級 
前職で税理士法人グループの保険代理店に所属し、税務の観点から企業にとっての最適な金融商品の提案を実施。その経験を活かし、現在は企業型確定拠出年金の導入を多数支援。提携先の税理士事務所や大手保険会社との共催セミナーの主催や社内勉強会を実施。経営者の想いに寄り添い、「経営者と従業員の資産最大化」をサポートしている。

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