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退職一時金制度から企業型DCへの移行実務|制度廃止の手続きと移換対象資産の整理

投稿日:2026年07月24日

更新日:2026年07月24日

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この記事を読むのに必要な時間は約 4 分です。

「今ある退職金規程を廃止して企業型DCに切り替えたいが、何から手をつければよいか分からない」という相談は、退職金制度の見直しを検討する中小企業の経営者から頻繁に寄せられます。既存の退職一時金制度を企業型DCに移行する場合、単に新しい制度を導入するだけでなく、既存制度の廃止手続きや従業員への説明、移換対象資産の整理など、押さえるべき論点が複数あります。本記事では、退職一時金制度から企業型DCへ移行する際の実務の流れを解説します。

結論:規程変更・労使合意・資産の整理を段階的に進める

退職一時金制度から企業型DCへの移行は、既存の退職金規程の変更、労使合意の取得、移換対象資産の整理という3つの手続きを段階的に進める必要があります。移行方法(全部移行か一部併存か)や移換の設計によって税務・会計上の扱いが異なるため、着手前に顧問税理士・運営管理機関と方針をすり合わせておくことが不可欠です。

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移行の基本パターン:全部移行と一部併存

退職一時金制度から企業型DCへの移行には、既存制度を廃止して全面的に企業型DCに切り替える「全部移行」と、既存の退職一時金制度を一定範囲で残しつつ企業型DCを上乗せする「一部併存」のパターンがあります。全部移行は制度がシンプルになる一方、既に発生している退職金債務の扱いを明確にする必要があります。一部併存は移行の影響を緩和できますが、制度が複雑になり、従業員への説明もより丁寧に行う必要があります。

就業規則・退職金規程の変更手続き

退職金規程は就業規則の一部として扱われることが一般的であり、変更にあたっては労働基準法上の手続き(従業員代表の意見聴取、労働基準監督署への届出等)を経る必要があります。あわせて、企業型DCの導入自体についても労使合意及び規約の作成・届出が必要です。両方の手続きを並行して進めることになるため、スケジュール管理が重要になります。

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移換対象資産の考え方

既存の退職一時金制度のために積み立てていた引当金や準備金をどのように扱うかは、移行設計の中でも特に重要な論点です。一般的には、移行時点までの勤続期間に対応する退職金相当額を、企業型DCの資産として一時金の形で拠出する、あるいは移行後の掛金に段階的に上乗せするといった方法が検討されます。どの方法を採るかによって、法人税・所得税上の取り扱いが異なるため、個別の設計は顧問税理士に確認しながら進める必要があります。

従業員説明会の実施ポイント(不利益変更に注意)

退職金制度の変更は、既存の従業員にとって将来受け取る退職金の水準や受取方法が変わる可能性があるため、労働条件の不利益変更に該当しないか慎重に検討する必要があります。移行によって従業員に不利益が生じる場合は、変更の必要性や合理性を説明したうえで、丁寧な合意形成のプロセスを踏むことが求められます。

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移行後の会計・税務処理

企業型DCへの移行後は、事業主掛金を損金に算入する会計処理に切り替わります。既存の退職給付引当金の取り崩しや、移行時に発生する一時的な損益の処理など、会計処理は移行方法によって異なります。決算期をまたぐ移行の場合は特に、事前に会計処理の方針を固めておくことをお勧めします。

SMC税理士法人からのアドバイス

退職一時金制度からの移行相談では、「移行すれば節税になる」という点にのみ関心が向きがちですが、実務上重要なのは既存の退職金債務をどう整理するかという点です。従業員の納得感を得られる移行プロセスを設計することが、その後の企業型DCの円滑な運営にもつながります。移行方針を固める段階から、顧問税理士・運営管理機関・社会保険労務士等の専門家を交えて検討されることをお勧めします。

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まとめ

  1. 退職一時金制度から企業型DCへの移行には、規程変更・労使合意・資産整理の3つの手続きが必要です。
  2. 移行方法には「全部移行」と「一部併存」があり、それぞれ特徴が異なります。
  3. 既存の退職金債務に対応する資産をどう移換するかは、税務・会計上の扱いに直結する重要な論点です。
  4. 労働条件の不利益変更に該当しないか、慎重な検討と丁寧な説明が求められます。
  5. 会計処理は移行方法によって異なるため、事前に方針を固めておく必要があります。

出典・参考法令

SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な確定拠出年金導入をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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よくあるご質問

退職一時金制度を廃止して企業型DCに全面移行できますか?

可能です。ただし、既存の退職金債務の整理方法や従業員への説明を丁寧に行う必要があります。

既存制度と企業型DCを併存させることもできますか?

可能です。移行の影響を緩和できる一方、制度が複雑になるため、従業員への説明はより丁寧に行う必要があります。

移行によって従業員の退職金が減ることはありますか?

設計次第では生じ得ます。労働条件の不利益変更に該当しないか、慎重な検討が必要です。

移換対象資産はどのように決めればよいですか?

移行時点までの勤続期間に対応する退職金相当額をどう扱うかがポイントになります。具体的な設計は顧問税理士にご相談ください。

移行の手続きにはどのくらいの期間がかかりますか?

規程変更・労使合意・規約届出など複数の手続きが必要なため、一般的に数か月単位の準備期間を見込む必要があります。

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このコラムの著者 : 宍戸沙綾

株式会社SMC総研:株式会社日本企業型確定拠出年金センター 企業型DC導入支援グループ
AFP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)/DCプランナー2級 
前職で税理士法人グループの保険代理店に所属し、税務の観点から企業にとっての最適な金融商品の提案を実施。その経験を活かし、現在は企業型確定拠出年金の導入を多数支援。提携先の税理士事務所や大手保険会社との共催セミナーの主催や社内勉強会を実施。経営者の想いに寄り添い、「経営者と従業員の資産最大化」をサポートしている。

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