投稿日:2026年10月12日
更新日:2026年10月12日
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結論(この記事で分かること) 企業型DCでは、勤続3年未満で資格を喪失した人について、規約に定めた場合に限り事業主掛金相当分の全部または一部を会社へ返還させることができます。返還額は原則として事業主掛金の額で、運用の結果それを下回るときは個人別管理資産額となり、障害給付金の受給権者や死亡による資格喪失などは対象外です。一方、退職した従業員が資産を引き出せる脱退一時金は要件が厳しく、転職して会社員になる人は多くの場合対象になりません。
「すぐ辞めた人の掛金はどうなるのか」は、企業型DCの導入検討時によくいただくご質問です。事業主返還と脱退一時金のルールを、厚生労働省の資料に沿って整理します。AFP・DCプランナー2級として企業型DC導入を支援する、株式会社SMC総研の宍戸沙綾が解説します。
事業主返還は、規約に定めていなければ行えません。事業主返還とは、実施事業所に使用された期間が3年未満で加入者資格を喪失した人について、事業主掛金に相当する資産の全部または一部を事業主に返還させる仕組みです(確定拠出年金法第3条第3項第10号、承認基準 別紙1 10.)。
事業主返還は規約の記載事項の一つです。短期退職者が出てから返還を求めることはできないため、導入時に返還規定を入れるかを決めておく必要があります。
2026年最新版|企業型DCの掛金上限はいくら?法改正の変更点と計算方法このセクションのポイント
- 事業主返還は、勤続3年未満で資格喪失した人が対象です
- 規約に定めた場合のみ行えます(確定拠出年金法第3条第3項第10号)
- 返還規定の有無は、導入時に決めておくことが大切です
返還額は、原則として事業主掛金の額です。ただし、運用の結果、個人別管理資産額が事業主掛金の額を下回るときは、その個人別管理資産額が返還額となります。規約では「全部」または「一部」を返還対象として定められます。
はい、含まれます。勤続期間には、育児休業・介護休業等の休職期間を含めて数えます。
障害給付金の受給権者や、死亡など一定の理由で資格を喪失した人は対象外です。対象外となる理由の詳細は、運営管理機関・所管の地方厚生局へ要確認です。
加入者掛金(マッチング拠出)がある場合は、事業主掛金分と加入者掛金分の按分方法を規約に明記し、加入者への返還額が零にならないようにする必要があります。具体的な按分方法の定め方は、運営管理機関・所管の地方厚生局へ要確認です。
事業主掛金は損金に算入されます(国税庁タックスアンサーNo.5231)が、返還金の会社側の経理・税務処理は顧問税理士にご確認ください。
このセクションのポイント
- 返還額は原則「事業主掛金の額」、運用で下回れば「個人別管理資産額」です
- 勤続期間には育休・介護休業等を含み、障害給付金受給権者・死亡などは対象外です
- マッチング拠出がある場合は按分方法を明記し、加入者への返還額をゼロにしません
企業型DCの資産は、原則として60歳まで引き出せません。例外が脱退一時金ですが、要件は限定的です。
企業型DCの記録関連運営管理機関に請求する場合の要件は、次のとおりです。
| 資産額 | 主な要件 |
|---|---|
| 1.5万円以下 | 企業型DC・iDeCoの加入者・運用指図者でないこと、資格喪失から6か月以内 |
| 1.5万円超 | 上記に加え、60歳未満、iDeCoに加入できない者、日本国籍の海外居住者でない、障害給付金受給権者でない、掛金拠出期間5年以下または資産25万円以下 |
このほか、iDeCo側(国民年金基金連合会等)に請求するケースでは、資格喪失から2年以内などの要件があります。
多くの場合、受け取れません。「iDeCoに加入できない者」とは、国民年金保険料の免除者や日本国籍を有しない海外居住者などです。転職して会社員になる人は通常iDeCoに加入できるため、脱退一時金の対象にならないことが多いのです。
資格喪失後6か月以内に移換手続きをしないと、資産は国民年金基金連合会に自動移換されます。2026年4月1日からは、自動移換に関する事業主の説明義務が「資格喪失が見込まれるとき」に前倒しされています。自動移換の注意点は「企業型DCの自動移換とは」で詳しく解説しています。
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- 資産は原則60歳まで引き出せず、脱退一時金の要件は限定的です
- 転職して会社員になる人は、多くの場合脱退一時金の対象外です
- 資格喪失後6か月以内に移換しないと自動移換されるため、早めの説明が必要です
返還規定を入れるかは会社の方針次第です。一般的には次の視点で検討しましょう。
このセクションのポイント
- 返還規定は、定着・公平感・事務負担の観点から導入時に判断します
- 「60歳まで引き出せない」「退職時は移換が必要」は導入時から説明しておきます
まとめ
企業型DCの事業主返還は、勤続3年未満の資格喪失者について、規約に定めた場合に限り行える仕組みです。退職者の資産は原則60歳まで引き出せず、脱退一時金の要件も限定的なため、返還規定の有無とあわせて導入時から従業員へ説明しておくことが大切です。返還規定を入れるかお悩みの際は、まずSMC税理士法人のお問い合わせフォーム(0120-459-964/平日9:00〜18:00)へお問い合わせください。
企業型確定拠出年金のおすすめ商品ランキング|年代別の配分と選び方出典・参考
- 厚生労働省「企業型年金に係る規約の承認基準等について」(2026年4月1日現在)別紙1 10.(事業主返還/確定拠出年金法第3条第3項第10号):https://www.mhlw.go.jp/content/001486099.pdf
- 厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」(脱退一時金・自動移換・給付):https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/gaiyou.html
- 厚生労働省「2025年の制度改正」(自動移換に関する説明義務の前倒し):https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/kyoshutsu/2025kaisei.html
- 国税庁 タックスアンサーNo.5231(令和8年4月1日現在):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5231.htm
SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 確定拠出年金導入 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
いいえ、規約に定めた会社だけが行えます。対象は勤続3年未満で資格を喪失した人で、事業主掛金相当分の全部または一部を返還対象として規約に定めます(確定拠出年金法第3条第3項第10号)。 Q2. 事業主返還の返還額はいくらですか?
原則として事業主掛金の額です。運用の結果、個人別管理資産額が事業主掛金の額を下回るときは、個人別管理資産額が返還額になります。
はい、含まれます。勤続期間には育児休業・介護休業等の休職期間を含めて判定します。
多くの場合、受け取れません。資産1.5万円超の場合は「iDeCoに加入できない者」であることなどが要件で、会社員に転職する人は通常iDeCoに加入できるためです。資格喪失後6か月以内の移換手続きが必要です。
個別の処理は顧問税理士にご確認ください。事業主掛金は損金算入されますが、返還を受けた金額の経理・税務処理は会社の状況に応じて確認が必要です。